手取りは月15万「空腹は無料のアイスでしのぐ」男性(57)が物流倉庫と菓子工場でダブルワークでも貧困ループから抜け出せない事情

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最近は同僚からの労組への期待も感じるようになった。少なくとも今は、転職するわけにはいかない。

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ダブルワークをした日、ナオキさんの夜は遅い。帰宅は23時を過ぎる。歩数計のカウントが2万歩に達することも珍しくない。日中は体育館よりも広い倉庫を歩き回るうえ、工場への移動は電車を使っているからだという。ナオキさんは「最近は疲れが取れにくくなりました」と苦笑する。

家族3人・1週間で3500円の食事

一方で新たな楽しみもできた。妻が「1週間で3500円」とうたう節約レシピ本を買い、献立を考えてくれるようになったのだ。

ある夜のメニューは、安価な鶏むね肉を使った「甘酢マヨチキン」。

小松菜の煮びたしや、チヂミなどの副菜も付く。ナオキさんは「ほかにも鶏肉とキャベツのみそ炒めとか、甘辛い味付けのそぼろ三色丼とか。どれも節約しているとは思えない、満足感が半端ないんです」と相好を崩す。

つかの間の、ささやかすぎる楽しみである。

「1週間で3500円」とうたう節約レシピ本。妻が作ってくれるという(写真:編集部撮影)
本連載は今回で終了し、次回からは「大人の貧困 『雇用の谷間』でもがくミドルエイジ」が始まります。生活苦に陥った就職氷河期世代(40代~50代半ば)の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。
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藤田 和恵 ジャーナリスト

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ふじた かずえ / Kazue Fujita

1970年、東京生まれ。北海道新聞社会部記者を経て2006年よりフリーに。事件、労働、福祉問題を中心に取材活動を行う。著書に『民営化という名の労働破壊』(大月書店)、『ルポ 労働格差とポピュリズム 大阪で起きていること』(岩波ブックレット)ほか。

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