7月参院選は大きな試練に!「結党70年」を前に行き詰まる自民党、原因は"GPS"にあり
自民党は、裏金事件の再発を防止するための政治資金規正法改正などにも後ろ向きだ。野党や公明党は、裏金の原資となった企業献金を廃止するなどの抜本改革が不可欠だと主張しているが、自民党は強く反対。関連法の改正は実現しそうにない。
政治とカネをめぐる未曽有の不祥事に対して、真相解明に踏み込まず、再発防止策も講じようとしない。まさに自民党のガバナンスの欠如が明らかになったのである。
時代に合わない自民党の政策
さらに深刻なのは、自民党の政策が時代に合わなくなっていることだ。
コメの価格高騰に有効な対策を打てない中で、「コメを買ったことがない」などと発言した江藤拓農林水産相が事実上、更迭された。後任には小泉進次郎氏が就任。政府が保有する備蓄米を大手スーパーなどと随意契約し、安価で売り渡した。
テレビなどのメディアは小泉氏の歯切れのよい発言が注目されるため、大々的に取り上げた。米価は一時的に下がる可能性はあるが、放出される備蓄米の量は限られており、底をつけば米価は再び上昇に転じるだろう。
米価高騰の背景には、自民党の農業政策の失敗がある。
日本の狭い農地での米作にはコストがかかる。米農家の高齢化は止まらず、後継者不足も深刻だ。米作には治水や環境保全などの役割もあり、国全体の政策として所得を補償しなければ米作が立ち行かないのは当然だ。そうした中長期的な政策づくりを怠ってきたツケが回ってきたのである。小泉農水相には、短期的な米価格の抑制にとどまらず、中長期的な米づくり政策を練り上げなければならないが、その展望は見えていない。
年金問題でも、自民党の政策立案能力の弱さが露呈した。5年に一度の財政検証を受けて、就職氷河期世代の基礎年金が目減りしていく事態に対応するため、一時的に厚生年金の一部を流用する案が政府内で検討された。
だが、参院選への影響を恐れて、基礎年金のかさ上げ案は見送られ、年金改正案は「あんこのないアンパン」(野田佳彦・立憲民主党代表)の形で国会に提出された。
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