喜多川歌麿が描く「美人画」が評判を呼んだ理由 評判だった美女を次々描く歌麿 どんな作品だったのか

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向かい合った2人は「キツネ」「猟師」「庄屋」のどれかの姿勢を出し合います。「キツネ」は両手を前に突き出し、耳の辺りに上げてキツネの耳の形にします。「猟師」は両手で握り拳をつくり、鉄砲を構えるような格好をします。「庄屋」は両手を開いて、膝の上に置くポーズ。

「キツネ」は「庄屋」を化かすので庄屋より強い(勝つ)。「猟師」は、鉄砲を持っているので、「キツネ」より強い(勝つ)。「庄屋」は立場が強いということで、「猟師」より強い(勝つ)というルールでした。

ジャンケンで言うと、チョキはパーより強く、パーはグーより強く、グーはチョキより強いというようなものですね。

じゃんけんの際の掛け声には「最初はグー、ジャンケン、ポン」などがありますが「狐拳」は、手を打つことによって、スタート。手を打ってから、各々が「キツネ」か「庄屋」か「猟師」のポーズを作り、勝負を決めるのでした。

この歌麿の「狐拳三美人」は、「高島おひさ」「難波屋おきた」「富士屋おたよ」が狐拳に興じているところを描いたものです。「おひさ」は「キツネ」、「おきた」は「猟師」、「おたよ」は「庄屋」のポーズをきめています。今風に言えば、3人でジャンケンをしているようなものでしょうか。

喜多川歌麿の作品が好評だったわけ

さて、歌麿の美人画には、狂歌が添えられることもありました。先述した一枚摺りの評判記『水茶屋百人一笑』が人気を博し、同書に狂歌が添えられていたように、歌麿の作品には「絵」と「狂歌」がミックスされています。当時、ほかの画家(勝川春潮や鳥居清政)も「おきた」や「おひさ」を描きましたが、歌麿の作品が最も好評だったようです。

(主要参考引用文献一覧)
・松木寛『蔦屋重三郎』(講談社、2002)
・鈴木俊幸『蔦屋重三郎』(平凡社、2024)

濱田 浩一郎 歴史学者、作家、評論家

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はまだ こういちろう / Koichiro Hamada

1983年大阪生まれ、兵庫県相生市出身。2006年皇學館大学文学部卒業、2011年皇學館大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。専門は日本中世史。兵庫県立大学内播磨学研究所研究員、姫路日ノ本短期大学講師、姫路獨協大学講師を歴任。武蔵野学院大学日本総合研究所スペシャルアカデミックフェロー。『播磨赤松一族』(KADOKAWA)、『あの名将たちの狂気の謎』(KADOKAWA)、『北条義時』(星海社)、『家康クライシスー天下人の危機回避術ー』(ワニブックス)など著書多数
X: https://twitter.com/hamadakoichiro

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