そのため、資産グラフは右肩下がり。島田さんは「退職金が1000万円入りますから」と訴えるが、「退職後も働き続けなければ65歳で資産はゼロになります」と伝えられると、がっくりと肩を落とした。
横山さんによれば、島田さん一家の家計が苦しい原因は、「メタボ家計と準備不足に尽きる」という。家族で頻繁に外食をし、子どもたちにも惜しみなくお金を使ってきた。「収入が多い人にありがちだが、将来のことなど深く考えず野放図に支出してきた結果、家計が膨らんでいる。しかも奥さんが子ども最優先で節約に協力的ではなかったため、ここまできたのだろう」と横山さんは言う。
さらに資産についても現預金の割合が高い。一応、老後のためにと運用はしていたものの、投資信託や株式ではなく、貯蓄型保険で運用しており、大きなリターンは望めない状況。70歳で保険の解約返戻金は入ってくるものの、資産は減っていくばかりの結果となった。
「定年間際で心配になっても取れる改善策は少なく、手遅れであることが多い。50代に入った頃から少しずつ準備をしておくべきだ」と横山さんはアドバイスする。
退職前の準備がカギ
都内在住の立花徹さん(61・仮名)も、相談に来た一人。手取り月収が少ないことに加え、再雇用を経て今年起業したため収入が減り、老後が心配になったという。
確かに収入は月20万円で、パートに出ている妻と合わせても27万円と少ない。しかし、もともと慎重な性格の立花さんはローン嫌いで、住宅ローンは前倒しで返済を進め、教育ローンなども組まずにきた。そのため月収は少ないが、毎月の収支は8万2000円のプラスとなっていた。
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