罰ゲーム化する管理職が知るべき「理想の上司・部下」関係のつくり方――良かれと思った部下とのランチや飲み会がNGな理由
「そもそも部下としっかり議論をし、意見を聞いたうえで最終的な意思決定をする、ということと、そうして意思決定したことをきちんと部下に実行してもらう、ということは決して矛盾しませんよ」
「なるほど。フルさんは何も、部下の話を聞くなと言っているわけではない、ということですね」
「もちろんですよ。むしろ、部下の話にしっかりと耳を傾ける、というのは、多くの場合上司と部下の健全な関係をつくるうえで欠かせないアクションです。それは、ひとたび上司が決断したことをしっかりと実行に移す、という部下の態度の1つの大事な土台になりますから」
「『フラットな関係』と『上司と部下の関係』は、両立できるということなのですかね」
「部下が意思決定に必要な、あるいは有益な情報を気兼ねなく上司に提供できる関係性をフラットと言うのであれば、私もフラットなチームに賛成です」
そう言って僕を見据えるフルさんの眼差しには、込み上げる感情を必死で抑えるような、強さと弱さが同居したような不思議な光が宿っていた。
フラットなチーム=ダメなチーム
「しかし、部下が意思決定の邪魔をすることだったり、意思決定されたことを放り出すことが許され、それをフラットな関係性だというのであれば、フラットなチーム=ダメなチームです。軍隊でもビシネスでもスポーツでも、そんなことが許されていて、かつ優れた結果を出している組織が、この世のどこかにあるでしょうか?」
「……それはない、ですね。おそらく」
「部下が遠慮なく意見をする。それを踏まえたうえで、上司は最後には腹を括って決断する。そうして下された決断を、部下は遅れることなく、しっかりと実行に移す。そのうえでどんな結果になろうと、その責任はしっかりと上司が取る。これが私の考える優れたチームです」
「同感です。まさにそれこそが、理想的な上司と部下の関係なのだと思いました」
「リレートとは上司と部下の関係をつくることだ、と言いました。それは友達関係ではないのですが、かといって、わざわざ息の詰まるような関係をつくらなくてはいけない理由はどこにもありません。先ほどの定義に一言つけ加えるなら、リレートとはつまり、『理想的な上司と部下の関係』を築くことなのです」
僕は咄嗟にカバンからリーガルパッドを取り出し、今のポイントをメモした。
◎部下が遠慮なく意見をする。それを踏まえたうえで上司は決断する。そうして下された決断を、部下は遅れることなく実行に移す。上司はその責任を取る。リレートとは、このような「理想的な」上司と部下の関係を築くこと
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