罰ゲーム化する管理職が知るべき「理想の上司・部下」関係のつくり方――良かれと思った部下とのランチや飲み会がNGな理由

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フルさんは再び僕の近くに歩み寄り、父親のように僕を見下ろしてこう言った。

「内藤さんのそもそもの失敗は、2人と『上司と部下の関係』を築けなかったこと、なのかもしれません」

理想的な上司と部下の関係とは

上司と部下の関係。これまで僕は、むしろできるだけそれを避けてきたつもりだった。マネジャーとメンバーは単なる役割の違いであり、どちらが偉い、ということではない。そんな投稿をソーシャルメディアで見かけ、僕はその考え方に共感していた。

そもそも社会人経験のまったくない、多くの社員より年下の僕が、自分が誰よりも偉いという体で振る舞うのははなから無理があった。

部下とはなるべくフラットな関係でいたい。上下関係が意識されない組織にしたい。そう思って社長業を務めながら、最終的にはそれと真逆のチームが出来上がってしまい、やがてそんなチームは見事に崩れ去った。

それが実現できなかったから失敗したのだ。そんな後悔の思いから、フラットな組織への僕の憧れは、それ以来一層強まるばかりだった。

しかし、フルさんは言う。僕のそもそもの失敗は、2人と「上司と部下の関係」をつくれなかったことだ、と。

「それでは軍隊みたいだ、と言いましたが、内藤さんは軍隊が悪いものだと思っているのですか?」

「いえいえ、そういうことではないです。軍隊の組織は会社組織とは前提が違うのだろうな、という意味でした」

「軍隊の組織と会社組織は、具体的にはどのように前提が違うのでしょうか?」

「そうですね、まず戦争では失敗すると命を落とすこともありますが、ビジネスではさすがにそんなことはありません」

「ではなぜ今内藤さんは、そんなに必死になって自分のマネジメント能力を見直そうとしているのですか? 失敗しても命を落とすことがないのであれば、もっとリラックスしてそのテーマに向き合ってもいいのではないですか?」

「……確かに、失敗できない、というのは戦争もビジネスも同じですね。特に、僕のような経営者にとっては。それはそうとして、ビジネスでは上司に意見をする、ということも時には大事だと思います。上司の考えていることが常に正しいとは限りませんし、ビジネスでは多くの場合、それを議論する程度なら、時間的な余裕があります」

「軍隊でも、上官の考えていることが常に正しいとは限りません。だから部下が上官に意見を言うことはよくありますし、それが受け入れられることも決して珍しくはありませんよ」

そう言うとフルさんは少し不思議な間を取り、気持ちを切り替えるようにフッと息を吹き出した後、こう続けた。

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