罰ゲーム化する管理職が知るべき「理想の上司・部下」関係のつくり方――良かれと思った部下とのランチや飲み会がNGな理由

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「部下との関係がしっかりできていないと、どんなマネジメント・アクションもうまくいきません。例えば、渋々雑談に応じていたおしゃべりなタクシー運転手さんに、その髪型は経営者らしくない、などと突然フィードバックをされても、内藤さんには何も響かないでしょう」

僕は窓に乱反射する自分の顔を見つめ、改めて新しいヘアスタイルをチェックしてみた。

「でも、ヤスさんからオフィスに呼び出され、そうフィードバックされたらどうですか?」

「この髪型、やっぱりあまり経営者らしくないですかね?」

「どうでしょう。私も人のことは言えないので」

そう言うとフルさんはボサボサの白髪頭を軽くかき乱した。

「先週もお話しした通り、リレート、つまり部下との関係づくりは、マネジメントの1丁目1番地なのです」

「それは、僕も今ではよくわかっているつもりです。共同創業者の2人を失ったのは、まさにその関係づくり、に失敗したからだと思っているので。だからこそ、今は役員や幹部と飲みに行ったりして、しっかりと関係をつくっているつもりです。川田さんは異性なので、サシ飲みには少し誘いづらいのですが、その代わりにランチで……」

友達関係と上司・部下の関係の違い

フルさんは、見えない波動を出すように手のひらで僕に「待った」をかけた。そして、教師が出来の悪い生徒に説いて聞かせるように、ゆっくりとこう言った。

「内藤さんが言っているのは友達関係。私が言っているのは、上司と部下の関係」

「上司と部下の関係……」

「上司が何かを指示する。部下がそれをしっかりと、遅れることなく実行する。これが上司と部下の関係です」

指示。実行。そうした言葉の強すぎる響きに、僕は何となく抵抗感を覚えていた。

「でも、それでは軍隊みたいで、ビジネスにおいてはあまりいいマネジャーとメンバーの関係性ではないように、正直僕には思えます。それこそ、最初の経営チームの末期は、まさにそれに近い状態でした」

「その時部下の2人は、内藤さんの指示をしっかり聞いて、それを遅れることなく実行に移していたのですか?」

「……そう言われるとノーですね。表立って反発されることはそう多くはありませんでしたが、かといって指示したことをきちんと実行してくれていたかというと、それもそうではありませんでした」

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