3カ月以上待たされた挙句に「当行で融資は難しい」 頼みの綱切れ、配偶者から”1000万円借金”・・・老舗「和装小物問屋」が破産した悲しき顛末
同社の取扱製品は、着物用の半巾着や小袋帯、信玄袋やハンドバッグ、帯締めのほか、草履、足袋、裾よけ、扇子など幅広く、和装をより引き立てる伝統的な商品から、他社にはないニッチな商品まで多彩な商品を取り揃えた。

着物離れや東日本大震災が直撃
大手呉服チェーン向けを中心に、首都圏および東北エリア各地の呉服小売店向けに販売してきた。とくに、同業他社の倒産を受けて2003年に開設した東北営業所による販路拡大の効果が大きく、2006年7月期には年売上高13億5000万円を計上していた。
しかしこの間も着物離れが進み、着物の需要減もあって売り上げは年々落ち込んでいった。こうしたなかで2011年3月11日、東日本大震災が発生。仙台市宮城野区にあった東北営業所は直接の被害こそ免れたものの、得意先各社が営業自粛や廃業に追い込まれたことで多くの販路を失った。2011年7月期の年売上高は9億7000万円と、10億円の大台を割り込んだ。
その後の売り上げは8億円前後で推移していたが、2020年の新型コロナウイルス感染拡大で業況がさらに悪化。大口得意先の大手呉服チェーンが店舗を大量に閉鎖したことで大幅な売上減に陥り、2020年7月期の年売上高は5億3000万円に落ち込んだ。コロナ禍前半のこの頃から収支は赤字の状況が続き、資金繰りを改善すべく仕入先各社に対して支払い条件の変更(支払いサイトの延長)を要請した。

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