慶應SFCの学生の多くが間違えた「ベイズ理論」の難問。あなたは“論理的思考”が本当にできていますか?数字にだまされないリテラシーを磨くには

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ただし、ジャックがサンプル1と2のどちらにいるかによって、エンジニアである確率が変わるのは同様です。しかし多くの人は、この基準率の違いをうまく捉えられません。それで、どの場合も同じくらいの確率でジャックをエンジニアだと考えてしまうのです。

「代表性バイアス」の極端な例「リンダ問題」

このような誤謬(ごびゅう)は「代表性バイアス」と呼ばれます。人は、ある情報(この場合はプロフィール)が与えられるとそれだけで、スキーマ(経験を自分で抽象化して、無意識の知識にしたもの。暗黙の枠組み。後ほど詳述します)をもとに「この人はこういう人だ」と決めつけてしまうのです。

他にも、「代表性バイアス」の極端な例として、「リンダ問題」がよく知られています。次のリンダのプロフィールを読んで、リンダについて推測してみてください。

リンダは31歳、独身で、積極的に発言する非常に聡明な人だ。大学では哲学を専攻し、学生時代には差別や社会正義の問題に関心を持っていた。また、反核デモに参加していた。現在のリンダについて推測する場合、AとBのどちらの可能性が高いだろうか?
A リンダは銀行員である。
B リンダは銀行員で、フェミニスト運動もしている。
Tversky & Kahneman(1983)を一部改変

「銀行員」か、「銀行員でかつ女性活動家」を選ぶ問題です。みなさんは、どちらの可能性が高いと思いますか? 理由も含めて考えてみてください。

さて、この質問は、ベン図を見ればすぐに答えがわかります。「銀行員でかつ女性活動家」である人は、「銀行員」のほんの一部であり、そもそも銀行員に含まれます。ということは、リンダが所属する集団として圧倒的に可能性が高いのはAですね。

ベン図
(図:『人生の大問題と正しく向き合うために認知心理学』より)

しかし今回、反射的にBと考えてしまった方もいるのではないでしょうか。

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