慶應SFCの学生の多くが間違えた「ベイズ理論」の難問。あなたは“論理的思考”が本当にできていますか?数字にだまされないリテラシーを磨くには

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この問いに答えるときに注意しなければいけないのは、ディックが属しているサンプルの構成が違うということです。「集団1」では、ディックは30人のエンジニアと70人の弁護士からなる集団に、「集団2」では70人のエンジニアと30人の弁護士からなる集団に属しています。

このように「集団1」と「集団2」では、属する集団のエンジニアと弁護士の分布に違いがあるため、集団が変わればディックがエンジニアである確率は変わるはずです。論理的に考えれば、「集団1」よりも「集団2」のほうが、ディックがエンジニアである確率が高いのは当然です。

しかし残念ながら、この実験では「集団1」と「集団2」のどちらの場合でも、ディックがエンジニアである確率は約50%と変わりませんでした。被験者は基準率をまったく考慮していないことがわかったわけです。

【確率②】確率思考と思い込み―どっちが優勢?

先ほどのディックのプロフィールは非常にシンプルでしたが、与えられる情報がより多くなると、思考はより複雑になります。続いて、ジャックのプロフィールから、ジャックの職業がエンジニアか弁護士かを考えてみてください。

なお、集団は先ほどと同じ(集団1:30人のエンジニアと70人の弁護士、集団2:70人のエンジニアと30人の弁護士)とします。

ジャックは45歳。結婚していて4人の子持ち、保守的、注意深く、野心的。政治、社会問題に興味を持たない。趣味は日曜大工、ヨット、数学パズル。

いかがでしょうか。「ジャックはエンジニアか弁護士か?」と聞かれた場合、「エンジニア」と直感的に思った方が多いのではないでしょうか。たしかにこのプロフィールは典型的なエンジニアを思い起こさせますね。

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