「タワマン住みの"新住民"は町内会に入らない。でも、祭りには来る」…。タワマンの聖地・武蔵小杉、激変した街に"旧住民たち"が語ること
センターロード小杉は、駅の南口からすぐの場所だ。飲食店や居酒屋が軒を連ねる商店街である。このかいわいの住所は、中原区小杉町3丁目となる。
今回はこの地域を中心に歩いた。というのも、2025年の3月いっぱいで、小杉町3丁目の町内会が解散したという噂を聞きつけたからだ。
小杉町3丁目は、JR南武線と東急東横線の線路と、川崎堀と呼ばれる小川に囲まれた地域だ。ここにも屋上に「R」マークをのっけたタワマンが4棟建っている。
それらが現れる前、2004年頃の小杉町3丁目の人口は1851人だったが、2024年には5508人と3倍近くに増えた。ところが町内会加入率は激減した。

かつてこのあたりは、工業地帯だった。工員やその家族を相手にした商店も多くあったが、今はもう数えるほどしか残っていない。
そのひとつ、この地で60年以上、お茶と海苔を専門に扱ってきた店に立ち寄った。通りに面したガラス戸の向こうに、テーブルを囲んでお茶を飲む人たちの姿が見える。
ガラガラと戸を開け、突然の訪問を詫びてから、かいわいを取材していることを伝えた。客のひとりは「名前を出さなけりゃ話をしてもいいよ」と言ってくれた。
「そう、3丁目の町内会はなくなっちゃった。タワマンの“新住民”と、私らみたいに元からいる人間じゃ生活そのものが違うんだよ」
地元ではよそから新しくタワマンに入ってきた人たちのことを“新住民”と呼んでいるらしい。「あっちが新住民で、私らは旧住民」と70代の男性は笑って続けた。
「タワマンにはちゃんと自治会があって、日頃の困りごとなんかはそっちで事足りるんだ。だから町内会に入るまでもないんだな」
タワマンが立つ前からずっとあるマンション
向かいに座っている60代後半の女性はこう言う。
「でもさ、町内会主催のお祭りなんかには来るんだよ。別にそれはそれで大歓迎なんだよ。でも、そこで子どもたちにお菓子やなんかを配るだろ、これって町内会費から出てる。
でも彼らは町内会に入ってないからもちろん町内会費も払ってない。なんだかねぇって言う人もいたよ。コロナがあってからはお祭りも下火だからいいんだけどさ」
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