「自分語りはすべて自慢話になる」と割り切って…SNSやブログを"イヤミっぽくなく書く"簡単テクニック

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いかがですか? 先ほどご紹介した"便利なワード"を使っているので、反感はそれほど持たなかったと思います。

しかし、なにか感じるところがあったでしょうか? 正直にいえば、「あっ、そう」という程度しか感じられなかったのではないでしょうか?

この文章で「書きたいこと」は、「豪華なホテルに泊まれるほど仕事を頑張ってよかった」ということです。もちろん、その事実は否定しません。

しかし、読み手が「確かによかったね」と思えないのは、自分がそこにいるかのような追体験ができないから。そして、なぜ追体験ができないのかといえば、なるようにそのときの状況を書いていないため、具体的なシーンを思い浮かべられないからです。

ということは、解決策は明らかです。「書きたいこと」「伝えたいこと」を「あっ、そう」という反応で終わらせず、自分と同じような気持ちを読み手にもできるだけ持ってもらうためには、

●「読みたくなるように、状況やシーンを具体的に書く」

という方法をとればいいわけです。

誰にでもある「のぞき見心」を刺激する

「読みたくなるように、状況やシーンを具体的に書く」には、どうすればいいのでしょうか。誰にも、他人の私生活をのぞき見たい気持ちが少なからずあるものですが、その「のぞき見心」を刺激するように書けばいいのです。

『「人生で大切なことに気づく」ための文章術 自分のことを書いてみる』(アスコム)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

五つ星付きの豪華なホテルに泊まった経験がある方は、そういないでしょう。ですから、そんな豪華なホテルに泊まったというエピソードに触れれば、「ホテルの中はどうなっているの?」「お風呂は?」「トイレは?」「スタッフの対応は?」と、のぞき見心に端を発する興味が尽きません。

つまり、そうした読み手の気持ちをいろいろと想像し、それらに応える形で書くとよいということです。

「ゴージャスな部屋のお風呂にあったのは、ピカピカの猫足が付いたバスタブ。でも、ロングフライトの疲れを取ろうとお湯を張ったら、ついつい忘れて床が水浸し……。おそるおそるフロントに電話をして、スマホの翻訳機能を使いながら一生懸命にお詫びをしたら、『そんなことは気にしなくていいですよ』と。すぐにスタッフさんが来てキレイにしてくれた」

もし、このようなエピソードがあったうえで、「仕事を頑張ってきてよかった」と続いていたなら、先ほどの文章(「一世一代度と思って、パリの五つ星付きの豪華なホテルに泊まった。ゴージャスな体験に、私はこれまで仕事を頑張ってきてよかったと思った」)の場合よりも楽しんで読んでもらいつつ、「よかったね」と感じてもらえる可能性は高まります。

岸本 葉子 エッセイスト

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きしもと ようこ / Yoko Kishimoto

エッセイスト。1961年、神奈川県鎌倉市生まれ。東京大学教養学部卒業。会社勤務、中国留学を経て文筆活動に入る。暮らし方や年齢の
重ね方、食や旅を題材にしたエッセイを多く発表。同世代の女性を中心に支持を得ている。主な著書に『60代、不安はあるけど、今が好き』(中央
公論新社)『ゼロから俳句 いきなり句会 毎日と人間関係がラクになる、「初めての人」の俳句入門』(笠間書院)『エッセイの書き方─ 読んでもらえる文章のコツ』(中公文庫)などがある。

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