中国市場の急速な変化と中国メーカーの攻勢に対応するため、外資系メーカーは中国戦略の大胆な転換に舵を切り、新型車開発の現地化や中国のサプライヤーとの関係強化を急いでいる。この動きは、中国の自動車業界内で「合資(ジョイントベンチャー)2.0」と呼ばれている。

例えばトヨタ自動車は、中国市場向けの電動車の開発責任者に現地事情を深く理解した中国人エンジニアを登用する「リージョナル・チーフ・エンジニア(RCE)」制度を導入した。
中国の広州汽車集団との合弁会社である広汽トヨタが3月に発売したEVの小型SUV「bZ3X(中国名:鉑智3X)」は、RCE制度の下で開発された初の新型車だ。また、4月下旬に開幕した上海モーターショーでお披露目した2つの新型車も、中国人RCEが開発の総指揮をとった。
外資に巻き返しのチャンス
日産自動車と中国の東風汽車集団の合弁会社である東風日産は、EVの新型上級セダン「N7」を4月下旬に発売した。東風日産の關口勲・総経理(社長に相当)はN7について、「中国の研究開発チームがコンセプト段階から開発した初めてのモデルだ」と説明した。

外資系メーカーの反撃はまだ始まったばかりだが、中国市場で巻き返すチャンスは十分あるとみられる。例えば最近、中国政府は(主に中国の)自動車メーカーに対して、先進運転支援システム(ADAS)や車載電池の性能に関する過剰な宣伝を慎み、安全性を着実に向上させるよう指導した。
安全性への信頼の高さは、外資系大手が持つ強みのひとつだ。ある外資系メーカーの幹部は、財新記者の取材に対して次のように述べた。
「新技術の導入には信頼性の確保が不可欠だ。クルマのユーザーにリスクを負わせるやり方は、(どんなに革新的でも)真に優れたイノベーションとは言えない」
(財新記者:余聡)
※原文の配信は5月12日
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