「正社員vs非正規」「管理職vs一般社員」、職場に潜む“見えない壁”の正体。《何を考えているのかわからない》と心の距離は広がるばかり

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組織の中にどのような「見えない壁」が広がっているのか。いろいろな企業で起きていた事例をもとに、見えない壁の正体が何かを探っていきましょう。

「見えない壁」の実態とは?

雇用形態の違いが生み出す壁

最初に見ていくのは、雇用形態の違いからくる見えない壁です。

バブル経済崩壊以降、コスト削減のために、正社員採用を抑制し、非正規社員、派遣社員を増やすという動きを強めました。

それまでも総合職ではなく、一般職という形で処遇も異なる女性を中心にした事務系職種がありました。そうした人たちの採用をなくし、徐々に減らしていく中で非正規社員に切り替えていったところもありました。

非正規社員という正社員とは異なる扱いをされる限定した範囲の中で働く社員。時間をコントロールしながら働きたい人にとっては、選択肢として良い面もありました。

しかし、就職氷河期世代などの中には正社員になれないために仕方なく、派遣社員や契約社員として有期雇用で就職する人も出てきました。

正社員の人たちはそういう人たちを見て、どう思ってきたのでしょうか。同じような仕事をしているのに、立場が違う、扱いが違う。派遣社員や契約社員は、社員証、バッジ、ストラップの色などが違う。だからすぐにわかる。

彼らが望んでいるのか、仕方ないと思っているのかさえよくわからない。だから軽はずみなことは言えない。そう思うと、その人たちのことを職場の仲間として同じように受け入れてよいのかわからなくなる。

中には歓迎会もしない、職場の中でも本人の名前すら呼ばず、「派遣さん」と呼ぶ人も出てくる。

実際に、非正規社員の人に歓迎会をしようとして、「わたしはそういうのは必要ないので」と断られたという話もありました。でも、その背景にある本心を聞くことはできない。

だから、どこかで距離を置いてしまう。そんなことが起きた職場も数多くあります。

管理職と一般社員の間に引かれる壁

同じように、線を引かれたという意味では、管理職かどうかという線です。それまで管理職は一般社員、主任、係長とステップアップする中で、徐々に自分だけの仕事から周囲のための仕事、組織全体の仕事へと目線が上がっていくプロセスがありました。

ところが係長という中間的な役割や、課長補佐、次長といった管理職の補佐的な役割がなくなっていく。課長だけが組織全体を見る人として位置付けられ、他の人たちとは異なる立場に置かれる。

人事部長が新任管理職研修の冒頭の挨拶で「あなた方は今日から社員ではなく、会社の立場に立つ人間です。会社の業績を上げるために、社員を上手く動かし、成果を出していくことがみなさんの役割です。経営側の人間になったということを意識してください」と語る場面に何度も遭遇しました。

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