"二刀流"戦略で躍進…!ドラッグストア覇権争い「最終決戦」のカギを握る企業の正体
当時のダイレックスの店舗はシニアの男性客が多く、店舗もいかにもお金をかけていません、と主張するがごとくの薄暗くきれいとは言えない、安売り店らしい店舗であった。
しかし、サンドラッグは次々と改装、移転増床を行い、ドラッグストア風の清潔で明るい店内に転換した。食品、酒類、医薬品、化粧品など購買頻度が高めの生活雑貨に絞り込み、でも、商品の価格は安く抑えた便利店、今の分類で言うならフード&ドラッグとして再構築し直したのだった。
新ダイレックスは、九州の女性消費者を中心に支持を得ることに成功。「必要なものを安く短時間で買える明るくキレイな店」として急速に拡大基調に転じた。
その後、中四国、近畿、関東甲信越方面にも出店を続けつつ、2010年代半ばからは生鮮食品を品揃えに加えた店舗を増やし始めた。これにより、生活必需品のほぼすべてを買える「生活必需品ワンストップ型」の店舗として一定の完成をみたダイレックスは親会社サンドラッグを上回るスピードで成長するようになり、その収益もグループに大きく貢献する存在へと成長した。まさに理想的なM&Aの成功事例といえるだろう。
ウエルシア、ツルハを上回る「二刀流」の力
次の図表はサンドラッグとダイレックスの売上高、営業利益の推移であるが、ダイレックスのグループにおける存在感が年を追うごとに大きくなっていることがわかるだろう。サンドラッグが再編相次ぐ業界で、ダイレックス以降大きなM&Aに頼ることなく売上規模と企業価値で上位を保っているのは、ダイレックスが大きく貢献しているからであるといえる。

サンドラッグは首都圏郊外から全国展開するドラッグストアとして成長したこともあり、その店舗の半数以上が三大都市圏に配置されている。郊外や地方展開においてはロードサイドに単独店を出して店舗数を増やしていくよりも、集客力の見込める食品スーパーとの共同出店を中心に慎重に展開している。
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