戦前の古豪からEF66まで「貨物列車の機関車」列伝 日本経済を支えた国鉄時代生まれの「力持ち」たち
旅客用の電気機関車も貨物列車を牽いた。1940年に戦前最後の旅客用電気機関車として登場したEF57形は、東海道本線では特急「つばめ」、晩年には東北本線黒磯―上野間で急行「つがる」「八甲田」を牽引したが、貨物列車を牽いたこともある。
流線型車体で今も鉄道ファンに人気の高いEF58形は荷物列車を牽いたほか、阪和線では貨物列車の牽引にもあたった。

「マンモス」EH10形とEF66形
国鉄が生んだ貨物用電気機関車として、筆者がその代表格だと思うのはEH10形だ。
登場したのは1954年。当時は東海道本線の全線電化が間近に迫っており(1956年に完成)、貨物列車用として牽引力の高い機関車が必要となっていた。とくに大垣から新垂井(当時)を経て関ケ原までは10‰の勾配が延々6kmも連続し、重量のある貨物列車にとっては最大の難所だった。


そこで国鉄が満を持して登場させたのがEH10形だった。本線上を1200トンの貨物を牽引して走るため2車体を連結した8軸の強力機で、国鉄最大級を誇り「マンモス」と呼ばれた。車体全体がほぼ黒塗りで黄色の細帯という塗装も異例だった。
筆者はこのEH10形に魅せられ、とくに四季折々の関ケ原を行くEH10形の貨物列車を追った。有名な関ケ原の大築堤をモーターの唸りをあげながら駆け抜ける「マンモス」の叫び声はいつまでも耳に残っている。
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