戦前の古豪からEF66まで「貨物列車の機関車」列伝 日本経済を支えた国鉄時代生まれの「力持ち」たち
国鉄(現JR)初の国産電気機関車は、信越本線横川―軽井沢間の急勾配区間を走るためのアプト式機関車で、1919年に大宮工場で完成したED40形だ。これは運用区間が限られた特殊な機関車であり、本格的な国産電気機関車のはしりは1928年に登場した旅客列車向けのEF52形だった。
貨物用の国産電気機関車としては、1931年に登場したED16形が長年の活躍で鉄道ファンに人気の高かった機関車だ。先頭部にデッキの付いた車体はEF52形を少し短くしたような風格あるスタイルだった。

青梅線の貨物列車で活躍したED16形
登場当初は中央本線や上越線の水上―石打間の清水トンネル開通時に投入され「国境のトンネル」越えに活躍した。主に勾配線区で運用され、その後中央本線、奥羽本線板谷峠、阪和線などで使われたが、とくに知られているのは晩年の南武線や青梅線の石灰石輸送列車を牽引した姿だろう。筆者も青梅線で重厚なモーター音を唸らせながら走るED16形牽引の貨物列車をよく撮影した。

戦前生まれのED16形が長らく残ったのは、当時の青梅線に重量のある大型機関車が入線できなかったためだが、改良によって後継機であるEF15形やEF64形が運用可能になり、1984年6月に全車廃車となった。現在は青梅鉄道公園に1号機が保存されている。
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