仮に大規模かつ機械化が進んだアメリカ農家と価格競争を強いられた場合、小規模かつ高コスト構造の日本の農家は苦境に追い込まれるという懸念はいつも健在である。折しも後継者不足で放っておいても離農が進むような状況にあるため、こうした懸念は切迫感を帯びている。
国産のコメがアメリカ産のコメに駆逐されるような状況に至り、ただでさえ低い食料自給率がさらに押し下げられるような展開は、食料安全保障の観点から看過できない。
これまで日本政府は国内コメ市場を幾度も防衛してきた。その結果が700%を優に超えると批判される外国産米への関税率である。
幾度もブロックに成功してきた日本のコメ市場
例えば1993年に合意し、1995年に発効したウルグアイ・ラウンドでは「ミニマム・アクセス(MA)米制度」を導入して難局を乗り切っている。MA米制度は一定数量の外国産米を無関税で輸入する仕組みであり、その枠内であれば高額の税率はかからない。しかし、その用途はあくまで備蓄用・加工用・外食用であり、家庭用への流通は対象外とされた。国内コメ市場は名目的に開放されたものの、実質的にはブロックに成功したわけである。
また、アメリカが主導し、日本が2013年に参加した環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でも、コメの輸入自由化は争点化した。この際、日本はアメリカ産に限って年間7万トンの特別輸入枠(特別枠)をMA米と別に設けることで乗り切っている。しかし、これも政府備蓄米の用途に限られており、家庭用への流通には至らなかった。
その次にやってきた交渉が上述した第1次トランプ政権時代の2019年だが、ここでも政府は農業5品目(コメ・麦・牛肉・乳製品・砂糖)を一切譲らなかった。
こうした歴史的経緯を振り返った上で今回の難局に目を移した場合、必然的に譲歩案の可能性は見えてくる。
端的には、(1)MA米の用途緩和、(2)アメリカ特別枠の拡大、(3)加工用・外食用を開放などである。
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