「混入はたった1店舗の話」では済まされない…すき家「ネズミ死骸入りみそ汁」他店への影響が免れないワケ
直営店はフランチャイズと比べて、「どの店舗でも安心」であることが評価ポイントとなる。まさに、すき家が「仕入からお店まで食の安全や品質に一貫して責任を持つ」と書いているように、一貫した体制をとれるのがポイントだ。
しかし、ひとたび不祥事が起きてしまえば、これまた「どこでも再現性がある」となってしまう。だからこそ、なるべくトラブルが起きないよう、細心の注意を払う必要があるのだ。
また直営においては、分業体制による「伝言ゲーム」が起きづらいため、状況把握の正確さや初動が早くなるメリットがある。加盟店側がペナルティーを恐れて、本部に事実を伝えないといったことも少なく済む。
「本国へのお伺い」を立てなければならない外資系企業と、社内で意志決定できる国内企業の関係とも似ている。
実際、ネズミ混入の事例も、発生後すぐに一時閉店し、保健所による現地確認を経て、2日後に営業再開している。ただ、これは「内部でのスピード感」でしかない。解決したから、それで終わりではなく、一般消費者への説明もセットになることを忘れてはならない。
誰しもが顧客になり得る外食チェーンだからこそ、なるべく早く経緯を説明し、再発防止策を伝え、必要に応じて謝罪する。この展開が遅々としてしまったのは、「直営なのに」とネガティブイメージを抱かせる要素になるだろう。
せっかくの直営にもかかわらず、店舗のクオリティーコントロールが利かないとなると、スケールメリットを得るよりも、むしろ「図体(ずうたい)だけがデカい会社」と悪印象を与えてしまう。ひとたび気を害した客を呼び戻すのは、そう簡単ではない。
すき家は「店舗数日本一の牛丼チェーン」を売りにしている。また、同じゼンショー系列には、「はま寿司」や「ココス」、「なか卯」といった有名外食チェーンを擁する。2023年には「ロッテリア」も仲間入りした。それだけの外食グループなのだから、その存在感も大きい。
全国どこでも、安定した水準で食事ができる。それが、消費者が直営店に求めているもので、その重要性をすき家も認識しているからこそ、直営にこだわっているのだろう。
しかし今回のように、「安心」が揺らぎ、なおかつ揺らいだ事実が隠されていたとなると、他社にも影響が出かねない。
公表の遅れは、自社にダメージを与えるだけでなく、外食業界全体における「直営神話」の崩壊につながる。そして「直営ですら、こんな状況なら」との印象が広がれば、フランチャイズに向けられる目も厳しくなる。
どれだけ衛生管理を徹底しているチェーンがあっても、「業界の盟主」の一挙手一投足によって、その環境は大きく変わっていく。
それゆえに、責任のある立場の企業や、その「中の人」には、透明で誠実な対応が求められるのだ。
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