参加者からは「普段、見られない位置から街並みを眺める非日常体験ができた」「新幹線を間近で見られて子どもが大興奮」など、高みから銀座界隈を眺めるという特別な体験を楽しんだという声が多く寄せられるなど、好評だったという。
こうした道路の再生は、パリやニューヨークでも実績があり、東京の魅力を高める可能性を秘めている決断となった。
廃止後に予定されるユニークな都市再生
廃止を2週間後に控えた3月20日、久しぶりにKK線を走ってみた。
目黒線の荏原ランプから首都高に入り、浜崎橋JCTから都心環状線、そして京橋JCTからKK線へ。道路わきに「4月5日KK線廃止」という標識が、いくつも設置されているのが目に入った。

休日の朝ということもあり、通行量は少ない。しばらくすると左側に新幹線と在来線(山手線、京浜東北線、上野東京ライン)の線路が現れ、次々と列車が行き交う様子が真横に見える。
そうしてKK線は、銀座の街並みと一体になりながら、わずか数分で再び都心環状線に合流していった。

並行する都心環状線の京橋付近は半地下になっている部分が多く、街並みはあまり楽しめない。その意味では、KK線の走行空間は、現代の東京を体感できる貴重な区間なのかもしれない。
日本橋の上を走る首都高の地下化は画期的だが、隣国の韓国・ソウルでは、やはり都心部を走っていた高架道路を廃止した例がある。この跡地は、以前あった川を50年ぶりに復活させ、水辺の散策ができるプロムナードとなった。
この事例は「清渓川復元事業」といい、高架道路を2003年に廃止し、2005年に川を復元している。
都市再生の試みとして広く知られた事業であるが、日本橋付近の首都高の地下化とKK線の歩行空間化も、ユニークな都市再生の試みとなろう。

なお、KK線廃止後の4月中旬(18~19日)には、廃止後の路上を利用して、ウォークイベントが実施される。
モーニングマラソンの実施やステージイベント、キッチンカーによるマルシェなど多彩な催しが計画されていて、参加者の申し込みも始まっている。今後の遊歩道化の先取りイベントとして注目されそうだ。

また、KK線が接続している首都高八重洲線については、2035年度まで10年にわたる長期の通行止めとなることも発表されている。15年ほどすると、日本橋も銀座も風景が大きく変わっているはずで、ぜひ見届けてみたいものである。
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