日本を破った人気急上昇の台湾プロ野球、台湾の政治家が日本のドーム球場を相次いで訪問するわけ

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日本政府観光局(JNTO)によれば、2024年11月に日本を訪れた台湾の人は約48万8400人で、対前年同月比21%増加、11月としては過去最高だった。これは、野球効果によるものだと考えられている。

台湾の航空会社によると、台湾チームが東京ドームでの決勝ラウンドに進出することが決まると東京行きの飛行機に予約が殺到し、すぐに満席になったという。11月の東京路線は業績好調だった。

筆者も、東京ドームでの決勝ラウンドを見に行きたいからチケットを取ってほしいと、取引先の知り合いに頼まれた。しかも、会社のグループで行きたいというのだ。日本語ができる人ということで、筆者に頼んできたわけだ。

「台湾プライド」野球人気はどこまで続く

そこで、ネットでの購入を試みたのだが、日本のイベントのチケットは転売防止で手続きが難しいのに加えて、頼まれた人数が多すぎた。結局、購入を断念して「満席で買えませんでした」とごまかして断りを入れた。

難しいチケット購入をクリアし、飛行機の座席も確保して東京ドームに観戦に行った台湾の人たちがあれだけ大勢いたのには驚いた。これを取材したある台湾メディアは、決勝当日の東京ドームはまるで台北のようだったと伝えた。それほど多くの台湾の人たちが、台湾チームを応援するために東京ドームに押しかけたのだ。彼らは、「チーム・タイワン」と叫んだ。

野球もそうだが、台湾がオリンピックを始めとする国際的なスポーツ大会に出場する際の名称は、「チャイニーズ・タイペイ」という都市名だ。台湾が置かれている国際政治環境によって、「タイワン」という地域名を使うことができない。これが冷酷な現実だ。多くの台湾の人たちはこの名前に悔しい思いを繰り返した。

これまで台湾では野球人気が圧倒的に高かったものの、国際大会での成績は振るわなかった。ところが、「プレミア12」で優勝したことをきっかけに、長年の鬱屈を解消、かつ熱狂的な野球ブームとなっている。

台湾にとって野球というものがいかに特別な存在なのか、改めて感じさせられた。そしてそれは、台湾のプライドを託された台湾野球が復活したと台湾の人たちが思ったからだろう。

早田 健文 在台湾ジャーナリスト、『台湾通信』代表

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はやた・たけふみ / Takefumi Hayata

1958年生まれ。広島大学大学院地域研究研究科アジア研究専攻修了(国際学修士)、1984年に台湾大学歴史研究所留学。1991年~2013年、台湾の政治・経済情報誌『台湾通信』(日本語)を発行。台湾の対外放送「自由中国之声」日本語番組アナウンサー、「台湾国際放送」日本語番組パーソナリティーとして、台湾発のラジオ日本語放送の番組を制作。

現在、インターネットラジオ「台湾通信webradio」を主宰。NHKラジオ海外リポーターも務める。各種メディアに執筆している。医薬品、健康食品、化粧品の分野を中心に、日本と台湾とのビジネスの架け橋も務めている。

著書に『台湾人の本心』東洋経済新報社(1998年)。

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