日本を破った人気急上昇の台湾プロ野球、台湾の政治家が日本のドーム球場を相次いで訪問するわけ
柯文哲市長は無所属だったが、当時は野党だった民主進歩党(民進党)の推薦を受けた。その後、民進党との協力関係を解消し、総統選挙への出馬を目指して台湾民衆党を結成して党首となり、2024年の総統選挙に出馬した。
台湾の2大政党は、与党・民進党と最大野党・国民党だ。両党が政権交代を繰り返し、激しい闘争を続ける中で、2大政党を嫌悪する若い世代を中心とした有権者から絶大な支持を受けたのが、第3勢力となった柯文哲氏だった。
その柯文哲市長がなぜ台北ドームの建設をストップさせたのか、本心は明らかにされていない。ただ、過去の国民党市長が進めた台北ドーム建設を否定することが、自分の市長としての存在感を示すのに都合がよかったのだろう。
野球人気は日本企業にもメリット
台北ドームは、結局、国民党の蒋万安市長が柯文哲氏の後継者などを破り2022年に当選するのを待って、2023年11月にようやく使用が始まった。政治に翻弄され、多くの曲折を経てようやく完成したのだ。
この台北ドームは、BOT(一括事業請負後譲渡方式)により民間資本を導入して建設されたもので、建設工事には日本の大林組も参加している。台湾に新たなドーム球場が建設されることになれば、当然、日本企業にもビジネスチャンスがもたらされる。
ちなみに、台北ドームの完成を遅らせた柯文哲市長は、総統選挙での落選後、市長時代の汚職疑惑と政治献金の虚偽記載疑惑で逮捕、起訴され、収監されたままだ。一方で、民衆党は国会に当たる立法院で国民党と民進党の間でキャスティング・ボートを握っている存在になっている。
台北ドームは、今では超高層ビルの台北101と並んで、台北市の新しいランドマークとなり、大きなタマゴ型の屋根を銀色に輝かせている。収容人員は野球の場合で最大約4万人、コンサートでは5万人。スポーツやコンサートなどのイベント会場として、引く手あまただ。
この台湾野球の経済効果は、日本にも波及している。2024年11月の「プレミア12」以降、台湾から日本を訪れる旅行者が大幅に増えた。日本を訪れる海外からの旅行者数は2024年に韓国、中国に次いで台湾は第3位だったが、人口比を考えると台湾からの数は断トツで、11月にとくに増えたのだ。
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