日本を破った人気急上昇の台湾プロ野球、台湾の政治家が日本のドーム球場を相次いで訪問するわけ
そして、この興奮はさっそく政治的に利用される。台湾の頼清徳総統は、台湾元の500台湾ドル(約2300円)紙幣に「プレミア12」の優勝チームを印刷すると発表した。
台湾では2000台湾ドルが最高金額の紙幣で、1000台湾ドル、500台湾ドル、100台湾ドルと続く。500台湾ドルは、日本の5000円紙幣ぐらいの位置づけだ。
実は、2005年から使われている現在の500台湾ドル紙幣にも、野球がデザインされている。ただし、こちらは少年野球チームだ。これを、今度は「プレミア12」の優勝チームに変更しようというわけだ。
ここでも野球の政治利用だが、台湾でいかに野球が愛されていて、政治家の人気取りに利用しやすいのかがわかる。
台北ドーム「完成までに9年」
それだけに、全天候型のドーム球場は、台湾の野球ファンにとって長年の夢だった。それでも、台北初のドーム球場である台北ドームが起工したのは2012年。そして完成して利用が始まったのは2023年11月。完成予定から遅れに遅れ、実に9年の時間がかかったのだ。これも、台湾の政治状況に左右された。
台北ドームの完成が予定されていた2014年の台北市長選挙で、台北市政を長らく牛耳ってきた国民党を市政から引きずり下ろした当時の柯文哲市長がその主人公だ。彼は就任するとドームを建設している企業側と工事の安全基準をめぐって対立し、8割ほどまで進んでいた工事をストップさせる。
その後、柯文哲市長の任期の2期8年間、台北ドームが完成することはなかった。私も、遅々として進まない工事中のドームの横を通るたびに、悲しい気持ちになったものだ。多くの人が待ち望でいるドーム球場が、廃墟のように台北の街の真ん中にたたずんでいた。
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