「スタバは出店しなくて正解」“行田市への出店中止”が《賢明すぎる判断》であったワケ…スターバックスにとっては「損して得取れ」の結果となる必然

ちなみに筆者の出身地は鳥取県で、実はこの原稿も鳥取市の実家で書いているのだが、鳥取県は「最後のスタバなし県」として知られていた。

2012年に鳥取県知事がこのことを自虐ネタにして、「鳥取にはスタバはないけど、 日本一のスナバがある」と鳥取砂丘をアピールして話題になった。2014年にはこのネタをもとに地元企業が「すなば珈琲」を開店している。

鳥取市を中心に展開する「すなば珈琲」（筆者撮影）

地元民や来訪客に愛されるメニューたち（筆者撮影）

2015年には、満を持して鳥取市にスターバックスがオープンして、大きな話題となった。鳥取県は日本一人口が少ない県だが、「すなば珈琲」に限らず、地元のカフェは意外に多い。

全国チェーン店の出店は、反響も大きい反面、地元企業の業績や、地元の生活に与える影響も多いため、一部で反発を受けることも理解はできる。

鳥取のスタバ出店に、「すなば珈琲」は「大ピンチキャンペーン」と銘打って、スターバックスのレシート持参でコーヒーを半額にするキャンペーンを展開し、話題を集めた。

鳥取県でのスターバックス出店は市民から温かく受け入れられただけでなく、地元企業とも共存共栄を図ることにも成功したといえるだろう。ちなみに、現在、鳥取県にはスタバが5店舗出店している。私見だが、人口規模を考えると、十分に成功しているといえるのではないかと思う。

「最後のスタバなし県」だった鳥取県に出店されたスターバックス（筆者撮影）

初出店から10年、地元民の憩いの場となっている（筆者撮影）

スタバの成功の裏には“巧みなPR”

日本各地を巡ってみて、スターンバックスが公共性の高い一等地に出店しており、多くの市民や来訪客に受け入れられていることに驚かされる。巧みなPR活動によりそれが実現され、出店したことがさらにPRとなり、同社のブランド価値を高める結果となった。

現在、世界で“スタバ離れ”が進んでおり、日本以外では苦戦していることが伝えられている。一方で、日本ではいまやスターバックスは“黒船”ではなく、日本人の日常生活になじむ企業として受け入れられている。