「スタバは出店しなくて正解」“行田市への出店中止”が《賢明すぎる判断》であったワケ…スターバックスにとっては「損して得取れ」の結果となる必然

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そうしたことを考慮しつつ、「最大多数の最大幸福」の原則を優先するのであれば、出店を決行したほうが、市民の利益になるように見える。

ただ、筆者としては、スターバックス側が出店を辞退したことは、賢明な判断であったと思う。

表明文を見ればうかがい知ることができるが、この判断は、スターバックスという企業の経営理念、PR戦略に基づいて行われている。

スターバックスは「PRがうまい企業」として知られている。PRは、日本では広告・宣伝と混同されることも多いが、原語は“Public Relation”の略であり、「さまざまな関係者と良好な関係を構築すること」を意味している。“PR”は、広告・宣伝よりも広く、包括的な概念なのだ。

PRは20世紀初頭にアメリカで誕生し、アメリカ主導で発展していった。一説によると、アメリカの鉄道会社が地域社会や関係各所との利害調整を有効に行う手法を取り、PRの発展に貢献したと言われている。

民主国家において、PRは利害調整、関係各所との良好な関係の構築を通じて、事業を有効に推進するうえで不可欠な活動だ。

行田市
行田市は、中断に続いて中止についても発表した(画像:同市公式サイトより)

鳥取県のスタバ出店は温かく迎えられた

筆者は特別にスターバックスのファンというわけでもなく、外出先でコーヒーを飲むときは、通常は単価の安いドトールやマクドナルドを頻繁に利用している。

旅行や休日の外出ではスターバックスを利用することもあるが、地域社会に根付いていることに驚かされる。公園への出店でいえば、都内では新宿御苑や上野公園に店舗があるが、つねににぎわっており、都会の憩いの場所になっている。

福岡の大濠公園(おおほりこうえん)に行った際、急に雨に降られたので、近くのスターバックスに駆け込んだのだが、湖畔のゆったりした店舗で、地元の人たちのくつろぎの場所になっていた。

出雲大社、大宰府でも、敷地内ではないが、参道に和風のしゃれたデザインの店舗があり、参拝客でにぎわっている。

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