「東大で獣医学を学んでTBSに」異色のキャリアを歩む「御上先生」の監督 大学での学びをドラマの現場でどう生かしたのか
――今回、『御上先生』の監督を務めたことに当てはめると、どのようなことが考えられますか?
例えば、『御上先生』のクオリティを追求するためには、実際の学校現場や先生の授業、東大を目指す生徒の受験勉強の様子をリアルに描く必要があります。
そのリアルさを追求するために教育監修として亀田さんに監修していただいているわけですが、最終的な判断を行うのは監督です。だから監督は作品に関わる分野の知識、今回であれば学校現場や勉強法、ビジネスコンテストの現場の知識などを最低限は備えておく必要があります。

ここではまさに、自分自身が東大に入学するため、そして獣医師免許をとるために勉強に励んだ経験が生きたと思っています。もちろん、大学で習った知識を直接生かせる仕事に就くのがストレートで分かりやすい知識の活用法だと思いますが、別の分野の職業に就いたら就いたで生かせるポイントは大いにあるなと。
『御上先生』第8話では、生徒同士が勉強の教え合いをするシーンが描かれていますが、これは自分が東大に通っていたときの経験を思い出しながら演出を行いました。
私は東大6年の冬に獣医師国家試験を受験したのですが、この試験を受けるにあたって同期たちと国試対策の勉強会を開いていました。同期のメンバーの中で担当科目を振り分けて、それぞれの要点をまとめた授業を互いにしていくという、まさに劇中でやっていたのと同じ方法でした。
やっぱり人に教えるとなると、予習していて不安になったところはすぐに確認するから、結局自分の理解も深まるじゃないですか。こんなふうにして試験を乗り切った経験があるから、それをドラマにも反映させたいと思ったし、視聴者の人たちの心も動かせるんじゃないかと思ったのです。
「受験は目的ではなく手段」
――確かに、受験勉強を頑張った経験があったほうが自然な演技のイメージを持ちやすいし、よりリアルな作品を作り上げることができますよね。ほかにも嶋田監督が思いを込めたシーンはありますか?
第8話での富永蒼のセリフ「受験は目的ではなく手段。だからこそ、それを知った私たちが東大に行くことには意味があると思う」の部分は個人的に印象に残っています。
このセリフは一見すると「結局、学歴至上主義じゃん」と思われてしまいそうですが、実はこの部分こそ学歴社会へのアンチテーゼだと解釈しています。
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