「東大で獣医学を学んでTBSに」異色のキャリアを歩む「御上先生」の監督 大学での学びをドラマの現場でどう生かしたのか
20年前の私みたいな高校生は『ドラゴン桜』の桜木先生に「東大へ行け」と言われ東大を目指していましたが、時流にはあっていないでしょう。今の高校生たちは東大を「目的」ではなくてひとつの「手段」として捉えているので、その点を考慮して作品作りをしないとな、と。
その象徴として『御上先生』の作中では「真のエリートとは何か?」を問い続けています。具体的な答えを作中で明示しているわけではないですが、「弱者に手を差し伸べられる人が真のエリートではないか」と御上先生が言っているシーンはあります。
「弱者に手を差し伸べられる人」の解釈
私個人としては、この「弱者に手を差し伸べられる人」の部分を「社会に存在する問題を詳らかにし、解決できる力を持つ人」というふうに解釈しています。つまり、自発的に問題点を指摘したうえで多彩な知識や視点をもって生産的な議論を行うことができる人がエリートなんじゃないかなと。
劇中の生徒たちの成長の様子を通じて、これを伝えたかったんです。だから、富永のこのセリフのシーンは「問題を解く側から、自ら問題を提起する側となっている」成長の様子を暗に示せればいいなと思って制作しました。
そして、どうすればそんな人間になれるのか、と考えると、その方法の1つが例えば「東大に進学する」ことだと思うんです。東大に進学することや受験勉強を頑張ることは、目的ではなく手段。勉強を通じて多様な思想に触れたり知識を吸収することで、人生に少しでも彩りを与えられるならば、勉強を頑張ること自体に価値があると私は考えています。
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