「東大で獣医学を学んでTBSに」異色のキャリアを歩む「御上先生」の監督 大学での学びをドラマの現場でどう生かしたのか
東大に入ってからは「理学部か農学部に行こうかな。農学部に進学するならどの学科かな」なんて考えながら大学生活を過ごしていましたが、子どもの頃から動物が好きだったので、農学部の獣医学課程獣医学専修に進学することにしました。大学生の時には英語劇やお芝居もしていて、これが後の就職に影響を与えることとなりました。
獣医学専修からドラマ監督に
――東大の獣医学専修を卒業してドラマの監督になる、というのは異色のキャリアだと思うのですが、TBSに就職するにあたってどのような考えがあったのですか?
確かに「異色のキャリア」だと感じる方もいるかもしれません。でも実は、自分の中では理にかなっているんです。
「獣医師」と一口にいっても活躍できる分野はさまざまです。いわゆる動物のお医者さんといわれる臨床獣医師以外に、関係省庁で働く官僚・公務員、そして研究機関の研究者など……、驚くほど多岐にわたります。

各分野それぞれの魅力があり、私もどの道に進むか悩んでいました。でも「自分がいちばんやりがいを感じられる仕事に携わりたい」と考えた末、当時傾倒していた「お芝居」に関わる仕事を目指すようになりました。気が付いたら今はもうテレビドラマの世界でお芝居にどっぷり浸かっているので人生本当に分からないですね。
国立大から国家資格を取って民間企業で就職するという選択に対して批判をされる方もいるかもしれません。
「獣医師なのに獣医さんにならないなんて!」、「税金を使っておいて民間企業に入るなんて!」と。
実際過去に私や周りの人が、そういったご意見をいただいたことがありました。それもごもっともだと思います。申し訳ない気持ちがないわけではありません。
でも私自身の答えとしては、今の仕事を選択した以上、今まで学んできたことを存分に生かしたうえで社会に対して恩返しをしていきたいという考えです。
私みたいな獣医師免許を持っている人間が、全く関係ないように見える分野で獣医学の知見や東大で勉強を頑張った経験を生かして力を発揮することが、巡り巡って獣医学や社会に寄与することもあるのではないか、と信じています。
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