軍用線だった「新京成電鉄」その痕跡と当時の記録 京成電鉄と合併、4月から「京成松戸線」に変更

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

習志野市における新京成電鉄の駅は、京成津田沼駅と新津田沼駅の2駅を有しており、京成本線並びに、JR総武線との交通結節点としての機能を果たすとともに、多くの習志野市民の生活の足として、重要な役割を担っている。

京成電鉄と新京成電鉄の合併の目的は、「千葉県北西部における事業基盤の強化及び地域活性化」「経営資源の相互活用による競争力強化及び事業規模の拡大」「スケールメリットを活かした効率的な協働体制の実現」といった、シナジー効果の発揮と言われている。市は合併後も「引き続き駅周辺のさらなる地域活性化などで協力していく」としている。

ほかにもある「軍用線」の遺跡

K2形機関車134号以外にも軍用鉄道松戸線を物語る遺跡は、現在の新京成線沿線にも多く点在し、鎌ケ谷市のアカシア児童遊園には、当時の鉄道連隊の橋脚が残っている。遊具とともにそびえ立つコンクリート製の人工物の存在は異様な光景を生み出しているが、「陸軍」の文字が刻まれた石柱を見ると、その存在意義に大きく頷けるものがある。

新京成線のカーブがきつい箇所・一部区間は、別ルートで新設工事を行っている。二和向台から初富にかけて直線ルートを建設しており、松戸駅付近も、新設ルートになっている。一方で、旧橋脚が残るアカシア児童遊園付近は工事が行われなかった。

軍用鉄道松戸線→新京成電鉄→京成電鉄と変化する、こんなにも特異な経歴を持つ私鉄路線は、ほかにないのではなかろうか。沿線を探せば、軍用鉄道松戸線だった頃の痕跡をほかにもいろいろと見つけることができる。新京成電鉄の痕跡があるうちに、散策しておきたい。

この記事の画像を見る(5枚)
渡部 史絵 鉄道ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

わたなべ・しえ / Shie Watanabe

2006年から活動。月刊誌「鉄道ファン」や「東洋経済オンライン」の連載をはじめ、書籍や新聞・テレビやラジオ等で鉄道の有用性や魅力を発信中。著書は多数あり『鉄道写真 ここで撮ってもいいですか』(オーム社)『鉄道なんでも日本初!』(天夢人)『超! 探求読本 誰も書かなかった東武鉄道』(河出書房新社)『地下鉄の駅はものすごい』(平凡社)『電車の進歩細見』(交通新聞社)『譲渡された鉄道車両』(東京堂出版)ほか。国土交通省・行政や大学、鉄道事業者にて講演活動等も多く行う。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事