寒暖差のある日が続くけれど…桜の開花「今年はどうなの?」気象予報士がお花見時期と天気を解説

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桜は気温が高いほど早く咲くと思われがちですが、実はそれだけではないです。「春の暖かさ」が重要なのは確かですが、「冬の寒さ」も桜の開花に欠かせません。

桜の花芽は前年の夏ごろにすでに作られています。その後、秋から冬にかけて休眠状態に入ります。この休眠状態の桜は、冬の寒さによって目を覚まし、春になって気温が上がるとつぼみが膨らんで開花するのです。

この現象は「休眠打破(きゅうみんだは)」と呼ばれています。つまり、一定期間の低温にさらされることで休眠状態から覚醒し、活動状態になります。この休眠打破は、桜の開花時期を決める重要な要素です。

桜の開花には冬の寒さが必要(イラスト:hidekichi/PIXTAを基に編集部作成)

昨年12月から今年1月前半は、寒気の影響で全国的に気温が平年並みかやや低めでした。暖冬だった昨シーズンと比べると寒く、休眠打破に十分だったとみられます。そのため、昨年よりも早い開花が予想されています。

このように、桜の開花には「冬の寒さ」と「春の暖かさ」の両方が関係しています。

気候変動で桜の開花は遅くなる?

気候変動の影響で、桜の開花時期はどう変化するでしょうか。

「春の暖かさ」の影響は大きくなりますが、「冬の寒さ」が足りずに休眠打破が弱くなることが考えられます。

十分な低温期間がないと、桜は休眠から目覚めるのに時間がかかり、結果として開花が遅くなります。実際、暖冬だった年は春の気温が高くても開花が遅れました。こうした影響は、温暖な地域ほど大きいです。

一方、寒冷地では開花が早まる傾向が続きそうです。北海道や東北の一部では、春の気温上昇によって開花が早まる効果が、冬の気温上昇で休眠打破が弱まることを上回ると見込まれるからです。

気候変動で桜の生育適地が北上し、現在のソメイヨシノの名所で数十年後には桜が開花しにくくなる可能性もあります。春の代名詞ともいえる桜の風景を未来に残すためにも、気候変動対策への取り組みが重要です。

久保井 朝美 キャスター、気象予報士、防災士

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くぼい あさみ / Asami Kuboi

愛知県岡崎市出身。9月20日(空の日)生まれ。NHK総合「サタデーウオッチ9」気象キャスター。父の影響でよく登山をしていて、天気に興味を持つ。農業の経験や番組で気象情報を担当したことから、気象と生活・経済との密接な関係を実感し、気象予報士の資格を取得。子どもからお年寄りまで分かりやすく、命を守る情報を伝えるため、テレビに出演、全国で講演を行なっている。趣味は、お城めぐり、アニメ。2021年「美人すぎるお天気キャスターランキング」1位に選出。

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