豪州やNZで「日本人の鉄道旅」が激減した原因 ワーホリで渡航したのに「仕事がない」悲哀

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

しかし、現在、こうした列車旅を楽しむ日本人の数は大きく減ってしまったようだ。オーストラリアやニュージーランドにおける日本人による観光の状況が様変わりしてしまったからだ。現在は、低賃金、円安の日本を脱出し、海外で高収入を稼ぐべく、ワーホリ(ワーキング・ホリデイ・ビザ)を取得してオーストラリアなどに渡ったものの、仕事にありつけず、そのうち滞在費も底をついてしまうというケースが相次いでいるようである。

どういうことが起こっているのだろうか。筆者はワーホリでの滞在経験はないが、かつて旅行会社勤務時代、ワーキング・ホリデイ・ビザ取得のお手伝いや、そういった渡航者の航空券予約や販売に携わったことがある。

かつて若者に人気だったワーホリとは

ワーホリは一般の観光ビザと違って、渡航国で就労もできる観光目的のビザのことである。ワーホリで渡航できる人気の国はオーストラリア、ニュージーランド、カナダの3カ国で、1980年代ごろから2000年代くらいまで、多くの若者に「働きながら旅ができる」と人気であった。当時は働くことより旅がメインで、「現地でアルバイトも可能なビザ」という感覚であった。オセアニア行き格安航空券は28日以内の往復で、復路の日程は変更できないものが多かったが、ワーホリ所持者は、同じ価格で航空券が1年有効になり、復路の変更も1回可能になる航空会社もあるなど、ワーホリは優遇されていた記憶がある。

現地でどんな職業があるかというと、おおよその日本人は英語が不得意なので、農業のお手伝いが多かった。簡単にいえば肉体労働で、田舎での仕事になるので遊ぶこともなく「お金を使う場がないのでお金が貯まる」ともいわれた。

そして、もうひとつ、多くの日本人は英語が不得意であっても就くことができる仕事があった。それがおもに日本人相手の観光に携わる仕事だった。お土産店、レストラン、日本人ツアー客が多く利用するオプショナルツアー催行の旅行会社、空港の両替所に至るまで、多くの日本人が働いていたのである。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
鉄道最前線の人気記事