「『こんな状況だったら気付けるだろ』とか『無理矢理家に入ったらいい』といった意見もありますが、家族とはいえ踏み込めない部分ってあると思うんです。第三者ならなんとでも言えますが、実際に同じ状況に立たされないことには気持ちはわからないはずです」
実際に長女も「プライベートの部分にまで踏み込まれたら嫌だろうなと思っていました。だから、なかなか家に自分から行けなかったんです」と話していた。

収納が家をモノ屋敷にしていく
残しておくモノは、ミシンのセット、電子レンジ、テレビ、そして2つの遺影のみ。スチールラックにはデパートで売っているような高そうな靴が何足も並べられているが、すべて処分し、ほぼ手ぶらで東京に移り住むという。
「一見、散らかっているようには見えない冷蔵庫ですが、中は案外いらないモノだらけなんです」
そう言って二見氏が冷蔵庫を開けると、チューブ型のわさびが3本出てきた。片付けが苦手な人ほど冷蔵庫の中に何があるのかわからずに同じモノをいくつも買ってしまったり、期限が切れそうなモノをとりあえず冷凍庫に入れてしまったりする。


ただ、食品には「賞味期限・消費期限」という基準があるので、「いる・いらない」の仕分けは片付けが苦手な人でもしやすい。
キッチンの下の棚を開けると、「タカノツメ」「白ごま」「コブ茶」「フリカケ」「板のり」「つぶコショウ」と書かれたシールが貼ってあるタッパーがあった。初めのうちは丁寧に整理整頓をしようとしていたようだ。ただ、ここにモノ屋敷になる原因が隠れている。

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