米国文学研究者が「自己啓発本」にのめり込んだ訳 系統立てて読むことで真意がわかるようになる
そこで私は研究ノートに立ち返った。そこにはこの10年の間に読んだ主要な自己啓発本の要旨やら、それを読んだ感想やらが細々と書きつづられている。
そんな電話帳(例えが古い?)ほどの厚さのあるそのノートを1頁目から読み返しながら、私は心の内にこの研究を始めた当初の興奮が蘇ってくるのを感じた。
そうそう、何だかんだ言って、やっぱり私は自己啓発本が好きなのだ。そしてこの世には、真に読む価値のある自己啓発本が山ほどある。私は、これまでに読んだ1000冊ほどの自己啓発本の中からこれはと思う作品を厳選し、ランキング形式で60冊を紹介する本を作ろうと決意した。
「自己啓発本の中で最高峰の本」とは
そうなると次なる問題は、どのような作品を選び出すべきか、である。
たとえばジェームズ・アレンの『「原因」と「結果」の法則』やナポレオン・ヒルの『成功哲学』、あるいはスティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』など、誰もが一度くらいは耳にしたことがあるであろう自己啓発本の傑作をリストに入れることは当然として、しかし、そういうものばかりではつまらない。
エリザベス・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』やジョージ・レナードの『達人のサイエンス』といった、知る人ぞ知る隠れた名著を忍ばせるのも一興だし、アブラハム・マズローの『人間性の心理学』やミハイ・チクセントミハイの『フロー体験 喜びの現象学』のような、バリバリの心理学書を自己啓発本として読むという試みも面白かろう。
日本発祥の自己啓発本として松下幸之助の『道をひらく』であるとか、水野敬也の『夢をかなえるゾウ』、はたまた岸見一郎・古賀史健の『嫌われる勇気』なども是非紹介したい。
とまあ、そんなふうにさまざまな視点から60冊の自己啓発本の名著を選び出し、本書『大学教授が解説 自己啓発の必読ランキング60』を作り上げていったわけだが、正直、この一連の取捨選択作業は楽しかった。自己啓発本研究冥利に尽きると言ったところである。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら