東北新幹線「連結外れ」がJR東に与えるダメージ 原因はわからないが「対策」施して連結再開

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連結の技術は直通だけでなく輸送力の拡大にも生かされた。1997年から2021年まで活躍した2階建て新幹線「Max」E4系は、混雑時間帯は8両編成を2本連結することで輸送力を大幅に拡大し、増加する通勤利用を支えてきた。

JR東日本の「お家芸」といえる新幹線の連結運転。これまでに200系、400系、E2系、E3系、E4系、トラブルの起きたE5系・H5系とE6系、そして2024年に登場した最新型の「つばさ」E8系が連結運転を行ってきたが、1992年の導入以降30年以上にわたり、連結ができないといった小規模なトラブルはあっても、走行中に連結が外れる事故は2024年9月までなかった。

「Max」E4系
2階建ての8両編成で、2本を連結した16両編成でも運転していた「Max」E4系(撮影:尾形文繁)
【写真と表】連結運転する新幹線の車両。E5系やE6系登場時の貴重な姿や、過去に起きた主な「連結外れ」事例の一覧も

「究極の安全追求」を

在来線では、列車の連結が走行中に外れる事故は件数こそ多くないものの発生したことがある。

主な事例では、JR発足初期の1990年2月に横須賀線で、西大井―新川崎間を時速100kmで走行中の列車(15両編成)の6両目と7両目の連結が外れて緊急停止したほか、1994年9月には朝ラッシュ時の総武快速線でも同様の事故が発生。どちらも今回の新幹線とは異なり、乗客の通れる通路のある連結部分だった。いずれもけが人はなかったが、走行中に連結が外れるトラブルは大事故につながる可能性もある。

今回のトラブル発生はタイミング悪く、「究極の安全の追求」をコンセプトに掲げる東北新幹線の次世代車両、E10系の開発を発表した直後だった。列車の連結運転によってネットワークの拡大を図ってきたJR東日本の新幹線。同社は2025年秋から東北新幹線で荷物専用車両の運転も計画しているが、これも「やまびこ」と連結して運転する予定だ。同社の新幹線網には不可欠な連結運転の信頼性回復は、経営面においても急務だ。

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小佐野 景寿 東洋経済 記者

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おさの かげとし / Kagetoshi Osano

1978年生まれ。地方紙記者を経て2013年に独立。「小佐野カゲトシ」のペンネームで国内の鉄道計画や海外の鉄道事情をテーマに取材・執筆。2015年11月から東洋経済新報社記者。

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