不眠や悪夢だけじゃない「楽しい夢」に潜む"危険" うつ病になった精神科医が伝える「発症の兆し」

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うつ病の患者さんの中にも、睡眠の悩みを抱えている人はとても多いです。なかなか寝つけない(入眠障害)、途中で目が覚める(中途覚醒)、朝早く目が覚めてしまう(早朝覚醒)など、症状は人によってさまざまです。なかには寝つけないあまり、昼夜が逆になってしまう方もいます。

朝、ベッドから起きられないほどの倦怠感も、浅い眠りが大きく関わっています。眠りの質が悪いために、夢見もあまり良いとはいえないでしょう。

ただ、私がうつ病の頃は、楽しかった学生時代の夢ばかり見ていました。現実の生活があまりにつらくて、楽しかった時の夢を見ることで、心のバランスを保とうとしていたのです。

眠れば現実逃避ができるので、私の睡眠時間はだんだん長くなり、結果的に過眠になりました。仕事以外はずっと寝ていて、うつ病の症状が重かった時には、1日15時間寝ているような状態でした。うつ病の症状は不眠だけとは限りません。

大事なのは、どんな夢を見るかより、ぐっすりと寝ることができたかどうかです。疲れた時には好きなだけ寝て、少しずつ心の元気を取り戻しましょう。

「ガマン」と「うつ」は切っても切れない関係

「ガマン」をすれば「うつ病」になりやすく、「うつ病」になると余計に「ガマン」してしまいます。

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うつ病の方は、人を責めるよりも「私のせいだ」と自分を責める傾向にあります。相手から責められても、「私が悪いんだから、怒られても仕方がない」とガマンして、ますます落ち込んでしまいます。

では、どうすればいいか?

解決策は簡単です。ガマンを誰かとシェアしてください。

心の中のイライラやモヤモヤを、家族や信頼できる同僚、友人たちに聞いてもらうだけでいいのです。近くに話せる人がいなければ、インターネットの相談窓口や地域の電話相談などで話してみるのもよいでしょう。

自分の中に溜め込まず、気持ちを外に出してみると、意外とスッキリしますよ。

三浦 暁彦 日本精神神経学会専門医 一般社団法人三陽会理事長 おおかみこころのクリニック代表理事

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みうら あきひこ / Akihiko Miura

日本精神神経学会専門医。一般社団法人三陽会理事長。おおかみこころのクリニック代表理事。

1994年2月2日、神奈川県生まれ。研修医時代に寸暇を惜しんで仕事に打ち込むも、うつ病と診断されて休職を余儀なくされる。休職を経て、医師として復帰。2023年、一般社団法人三陽会を設立し、同年、東京・新宿におおかみこころのクリニックを開院。信念は「精神疾患で苦しむ人をなくす」こと。著書に『脱うつのトリセツ』(扶桑社)がある。

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