不眠や悪夢だけじゃない「楽しい夢」に潜む"危険" うつ病になった精神科医が伝える「発症の兆し」

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健康な時は気づかなかったのですが、私たちは、日々、膨大な情報の中で生きていることを思い知らされます。自分は立ち止まっているのに、社会はおかまいなしにすごい速さで進んでいきます。やがて、ついていけない自分をどんどん責めるようになってしまいました。

今振り返れば、「そこまで深刻にならなくてもよかったのに」と思います。でも、当時の私は、物事を冷静に考えることができなくなっていたのです。

自分が周りから置いていかれていると、とても不安な気持ちになります。でも、焦らなくてもいいのです。マイペースでいいのです。

マイクロソフトを創業したビル・ゲイツ氏は、「自分のことを、この世の誰とも比べてはいけない。それは自分自身を侮辱する行為だ」と言っています。周囲と違うことより、自分がどうしたいかのほうが大切なのです。

「みんなが知っていることだから、自分も知っておかなくては」と無理にニュースを見なくてもOK。「見たくなったら見ればいい」くらいの気持ちでいきましょう。

会社に行きたくない人が95%もいる

PR代行業務などを行う株式会社ベクトルが実施した「会社に行きたくない理由」というアンケート調査で、興味深い結果がありました。「仕事に行きたくないと感じたことがありますか?」という問いに、95%の人が「はい」と答えています。そして、行きたくない理由の第2位に「疲れが取れていない」がランクインしており、全体の約35%もいました。

疲れを感じながら、無理して会社に向かう人がいかに多いかがわかります。

クリニックを受診される方のなかにも、疲れやだるさを訴える方がかなりいます。

「一晩寝ても疲れが取れない」

「体が重だるくて起き上がれない」

健康な方であれば一晩寝てゆっくり休めば疲れが取れて、また元気に活動できるようになります。ところが、うつ病の方は一晩寝ても疲れが取れず、ずっと重だるい状態が続いてしまいます。疲労感やだるさも、うつ病の初期症状です。

私の場合、朝、目が覚めると高熱を出した時のように体が重だるく、起き上がることができませんでした。

それでも、仕事には行かなければいけません。なんとか自分を奮い立たせて支度を始めるのですが、顔を洗ったり、服を着替えたりすることがとても億劫に感じられて、簡単な動作ですらつらいのです。

強い倦怠感があると、普段の何気ない動作が思うようにできなくなります。それが原因で遅刻してしまうと、自分が許せなくなってさらに落ち込むようになりました。

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