党内騒然!自民党大会に現れた「問題人物」の正体 「保守中道層の離反を招きかねない」との声も

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さらに2018年には月刊誌で、同性カップルを念頭に「彼ら彼女らは子どもを作らない、つまり『生産性』がない」と寄稿し、猛批判を浴びた経緯がある。

その一方で、故・安倍晋三元首相が杉田氏の思想信条を評価し、衆院比例中国ブロックの名簿登録上位への記載を決めたこともあった。昨秋の総裁選では党内の保守派代表格である高市早苗氏の推薦人になるなど、保守派としての言動が際立ってきた。

「岩盤保守票」狙いは"脱安倍"に逆行も

杉田氏は政治資金収支報告書の不記載問題について、「今は議員でないので政倫審(政治倫理審査会)に出ることはかなわないが、議員になったらきちんと話す」との意向を示した。他方、アイヌ民族に対する差別的言動に関しては「ブログを削除し、謝罪したので、すでに終わった問題だ」と語った。

今回、森山幹事長ら党執行部は「自民党の“岩盤”といわれる保守票の掘り起こしを狙って杉田氏を公認した」(党選挙対策関係者)とされる。だが、「党の人権意識が問われ、いわゆる保守中道層の離反を招きかねない」(選挙アナリスト)との指摘も少なくない。

そもそも、石破首相は「参院選に向けて“脱安倍”を進めることで支持率アップを狙う立場」(官邸筋)とみられてきた。にもかかわらず、「党内保守派に忖度(そんたく)して杉田氏の公認を認めた」(同)ことで、高額療養費見直しの凍結と同様、意思決定が二転三転しているように映る。

党大会後には「責任政党だから、政策を作る際には本当に丁寧なプロセスを踏んでやらないと国民の理解をなかなか得られない」(小林・元経済安保相)との批判が相次いだ。今後も「石破首相のガバナンス不足が問われ続ける」(自民党の長老議員)ことは避けられそうもない。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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