無名でも石田衣良氏とつながった! プロインタビュアーが語る「会う力」の奇跡 トップランナーと仕事するチャンスは誰にでもある

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しかし何より印象的だったのは、当日5件以上取材が入っているという超多忙なスケジュールにあっても、イヤな顔ひとつせずに僕たちを客人のようにもてなしてくださったことです。先輩の陰に隠れていただけの僕に対しても「ご苦労様です。頑張ってね」とねぎらいの言葉をかけてくださったことが今でも忘れられません。

取材後、僕は不遜(ふそん)にも「衣良さんはたとえ会社の看板がなかったとしても、提案力と情熱があれば、個人的にもお目にかかる機会をくださるのでは」と感じたことを覚えています。起業はおろか、まだまだ駆け出しの会社員ライターだった僕にそう思わせてしまうくらい、相手や気分で物事を判断しない非常にフラットでフェアな方でした。

わずかな接点でも「接点」に変わりはない

3年後、僕は会社を辞めて本の著者にインタビューするポッドキャストを始めていました。

番組はスタート2年目に入り、国内外でそれなりの数のリスナーに聴いていただいていたとはいえ、一般的にはまだまだ無名の存在です。大手メディアの看板と先輩の陰に隠れてお目にかかった3年前に比べると、何の後ろ盾もない状況。それでも思い切って衣良さんにアポを試みます。僕が唯一持っていたのは、「先輩の取材同行でお目にかかったことがある」というほんのわずかな接点だけでした。

3年ぶりに事務所に電話をかけた時の緊張を決して忘れることができません。勇気をふりしぼって押した番号。ほどなくして受話器から聞こえる女性の声。幸いにも秘書の方は3年前と変わっていませんでした。これはチャンス。そう思った僕は切り出しました。

「以前○○の企画で取材させていただいた早川洋平と申します。その節は大変お世話になり、ありがとうございました。実はあれから独立し、現在はインターネットラジオ番組『人生を変える一冊』を運営しております。このたびは、石田衣良さんに番組にご登場いただき、ご著書『40 翼ふたたび』についてお話しいただきたく、ご連絡させていただきました。

ご依頼のいちばんの理由は、『人はいくつになってもやりなおすことができる』という光を本書が与えてくれるということ。脱サラしてプロデュース業を始めた40歳の主人公の元を訪れる同じく40代の依頼人たち。

『凋落したIT企業の社長』『やりての銀行マン』『引きこもり』……生きることの困難に直面しながらも、『再生』への道を歩んでいく登場人物たちの姿には、本番組のコアリスナーである40代の方はもちろん、世代を超えて多くの方が勇気をもらえるに違いないと強く感じました。

そんな私たちの人生を変えうる1冊を書いてくださった石田さんに、本書に込めた思いとご自身が40代の頃にどんな状況で何を考えていらっしゃったか、そして石田さんの作品に通底する『鋭く時代を切り取りつつ、優しくさわやかな読後感をもたらす』源泉はどこにあるのか、直接お話をうかがいたくご依頼させていただいた次第です。

また、私事で恐縮ですが私は現在30歳で主人公と同じ『脱サラしてプロデュース業を始めた』ばかり。主人公や登場人物、コアリスナーの方は40代。そして石田さんは40代をまさに終えられたばかりの50歳。三つの年代を超えて展開されるインタビューをもし実現させていただけるなら、何か面白い化学反応が起こるのではないかと、僭越ながら予感しております。

そして何より、石田さんの肉声によるメッセージを国内外のリスナーにお届けし、一人でも多くの方に本書を読んでいただくことで、微力ながらリーマンショックを経て暗い話題にまみれがちな世の中に一筋の光を与える一助になりたいと思っております。ご多忙のところ、突然のご相談で恐縮ですが、何卒ご検討いただけませんでしょうか」

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