長男が20歳になるとき、東島さんは71歳。少なくともそれまでは、再雇用制度を視野に入れつつも、ライフワークである水俣病に関する報道や大学での仕事などを組み合わせて生計を立てていくつもりだ。
ただ、東島さんから悲壮感は感じられない。「30代の頃のほうが蓄えはなかった。何年かは試行錯誤できる余裕があるのも50代の強み」と前向きに捉えている。

子育てで「人格」も変化
ジャーナリストとして幅広いジャンルの取材をしてきた東島さんだが、子どもが生まれて、「世の中にはこんなにも親子連れや子どもがいるものなのか」と驚いている。
「今まで全然目に入っていなかったが、いざ親の目線が備わると『この町はどうなっているんだろう、使いやすいのかな?』と考えるようになったり、教育問題を取材することが増えた」という。
さらに、自分の人格にさえも子育ては影響を与えている。
「子どもってよく親のことを見てマネしたりするじゃないですか。『パパが怒ったときのマネ』とか。それを見て、本当に心を入れ替えようと思いました(笑)。でも、若いときだったら(受け入れられず)怒っていたかもしれないですね」
それを楽しめるのは、ある程度心の余裕を持って子育てができる状況だからだということが、東島さんの話からは見て取れる。
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