セレナ4WD「車酔いしにくさ」を強調する理由 新登場「e-4ORCE」に見た日産らしいこだわり

✎ 1〜 ✎ 102 ✎ 103 ✎ 104 ✎ 105
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

「15cmの深雪からでも、ゆとりをもって脱出できる」という日産の説明どおりで、除雪していない道を走るのが、むしろ楽しみになるほどだった(といっても、そういう道は避けるのが賢明)。スキー場などでは、ありがたいだろう。

e-4ORCEでは、フロントモーターの315Nmと、リアモーターの195Nmというトルクを使う。後輪にしっかりとトルクをかけられることが重要で、同時に4輪の駆動力制御技術も要となる。

「機械式4WDや(一般的な)ハイブリッド車のモーター4WDでは、前輪の空転を感知してから後輪を駆動するため、発進に遅れが出がちですが、e-4ORCEでは、アクセルペダルを踏むだけで一瞬の遅れもなく進んでいきます」という先のエンジニアの言葉どおり、雪が積もった北海道の路上で、セレナ4WDの性能ぶりに感心した。

制御の良さもあり違和感や不自然さを感じることなく走れた(写真:日産自動車)
制御の良さもあり違和感や不自然さを感じることなく走れた(写真:日産自動車)

日産は、ほかの4WDシステムと性能比較した一覧を示してくれたが、そこにはカーブを曲がるときの性能も、セレナ e-4ORCEは大きく競合車を引き離す、とされていた。

ポイントは「頭部の揺れを防ぐこと」

現行セレナが発表されたとき、日産の技術者は「乗りもの酔いしにくい」ことを、大きなセリングポイントにあげていた。

乗りもの酔いのメカニズムは100%解明されているわけではないようだが、乗員の「頭部の揺れを防ぐこと」がかなり有効とのことで、セレナでは前後サスペンションの動きを制御。

加減速時にアクセルペダルの操作をややぞんざいにすると、車体の前あるいは後ろが持ち上がり、それが乗員の頭を揺らすものだ。セレナでは、駆動力を制御しやすいモーターの特性を生かして、車体の揺れを抑えるのに成功しているという。

視界のいい室内空間もセレナの運転しやすさの理由のひとつ(写真:日産自動車)
視界のいい室内空間もセレナの運転しやすさの理由のひとつ(写真:日産自動車)

特にe-4ORCEモデルは、前輪に加えて後輪も積極的に制御できるため、頭部の動きを抑える制御がより緻密なのだそう。減速時の前後の動きだけでなく、カーブ時の左右の傾きにおいても「酔いにくさ」が向上しているという。数字にすると、それぞれ10%の改善とのことだ。

「本来は犬を乗せたときに酔いにくさを目指したんですけどね」とは、現場で教えてもらった裏話だ。犬を飼っている人はご存じのように、人間よりも酔いやすい。

次ページ日産にしかできないクルマづくり
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事