ホテル高騰の救世主?「寝台夜行バス」進化の実態 これまで寝台バスが日本で普及しなかったワケ
これまでの夜行バス車両は「空間の下部に数十人が座って長時間を過ごす」前提で製造されており、「180度横になれる座席が2段ベッド状に重なる」という想定はないはず。
イチから始めなければいけない「寝台バスの開発」を、自社で何十台と導入できるわけではない小さなバス会社が手がけるとなると……パートナー企業探しの困難さは、想像するに余りある。
さっそく開発の窮地に陥った同社は、電動グライダーの開発で実績を持つ「サーマル工房」に設計を、工事現場の騒音を抑える杭の引抜機「サイレントパイラー」(世界シェア9割!)の開発に関わったことで知られる「株式会社垣内」に部品製作を依頼。モノづくりの技術を持つ高知県内の2社から協力を得て、「日本初・寝台バスの開発」を進めていった。
こうして、寝台バス座席は無事に完成。2023年12月にさいたま市で開催された展示会「第9回 バステクin首都圏」に出品したところ、業界内にとどまらず各方面で思わぬ話題を呼ぶ。
当時は「あと半年ほどで運行開始」と各方面にアナウンスしていたものの、あまりの反響の大きさもあってか、国土交通省がガイドライン策定に乗り出したため、それに合わせるためにいったん運行を延期。2024年11月に「車両安全対策検討会」から公表されたガイドラインに基づいて設計を追加、2025年3月のモニター運行開始に漕ぎつけた。
さまざまな創意工夫が確認できる車体

寝台バス「ソメイユ・プロフォン」を実際に見ると、「冷暖房の当たり方も上段・下段で違うはず」と、1点モノの部品であるオリジナルの送風口を3Dプリンタで製作するなど、手作り・創意工夫の部分が随所で見える。おそらく、モニター運行の最中にもさまざまな課題が上がり、一つひとつ丁寧に改善していくのだろう。
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