フィリピンに渡った「丸ノ内線車両」の意外な役目 現役当時そのまま、2両の「02系」今どこにある?

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昨今、日本の鉄道事業者を取り巻く環境は激変している。かつては内向き、ドメスティックといわれた業界であるが、今、グローバル化は避けて通れない。

国内需要が頭打ちの中、インバウンド対応や営業はもちろんのこと、海外事業として主に語られる技術支援やコンサル業務も強化しなければならない。ただ、これに耐えうる人材が十分に育っているかという部分は業界全体の悩みだろう。

02系がつなぐ日本とフィリピン

そんな中、TMAを通じた東京メトロの海外との交流は、グローバル人材育成に少なからず寄与しており、双方が学びを得られる、いわば相互利益の関係にある。FEATI大学との連携も同様だろう。

日本の労働人口がますます減少していく中、鉄道業界においても外国人材の受け入れは時間の問題だ。今のところはフィリピンにおける鉄道高度人材の育成が先決すべき課題ではあるが、将来、「02系を教材として学んだ」卒業生が東京メトロで働くということもありうるかもしれない。

FEATI大学 パネル展示
02系の搬入やさまざまな海外鉄道事業者との交流などの様子を紹介するFEATI大学のパネル展示(筆者撮影)
【写真でもう一度】外観も車内も運転台も現役時代の姿。フィリピンの大学に譲渡された東京メトロ丸ノ内線02系と、「東京メトロアカデミー」の研修の様子

鉄道会社の海外事業というと、どうしても技術の輸出面ばかりがフォーカスされるが、日本と海外の関係は持ちつ持たれつの局面にあるといえる。多くの人が考えるよりも、海外はもっと身近な存在だ。現役を引退して海を渡った02系もまた、日本とフィリピンをつなぐ架け橋として、大きな役割を果たしていくだろう。

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高木 聡 アジアン鉄道ライター

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たかぎ さとし / Satoshi Takagi

立教大学観光学部卒。JR線全線完乗後、活動の起点を東南アジアに移す。インドネシア在住。鉄道誌『鉄道ファン』での記事執筆、「ジャカルタの205系」「ジャカルタの東京地下鉄関連の車両」など。JABODETABEK COMMUTERS NEWS管理人。

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