ついにアメリカと欧州の「文化大戦争」が始まった ヴァンス副大統領演説の衝撃度は計り知れない

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さて、「アメリカに見放された欧州」にはどんな道が残されているのか。英国のFinancial Times紙の外交コメンテーター、ギデオン・ラックマン氏は2月17日付のコラム、”Vance’s real warning to Europe”(ヴァンスの欧州への真の警告) の中で、「アメリカがもはや欧州にとって信頼できる同盟国と見なされないことは明らかである」と断じている。

いわく、アメリカの関与がなくなる「その日」に備えて、欧州は急いで準備をしなければならない。その中には「自立した防衛産業」を育てることも含まれる。また、「アメリカへの危険な依存領域を排除しなければならない」としているが、軍事衛星や諜報活動まで当てにできないとなったら、相当な難事業になることは想像にかたくない。

ちなみにFinancial Times紙は、その2日後に” How Europe can defend itself without US help”(欧州はアメリカの助け抜きにみずからを防衛できるか) という記事を掲載している。これによると、欧州軍がアメリカ抜きに任務を遂行することはやはり難しい、のだそうだ。

「米と欧」が反目し合う時代が始まっている

記事はいろんなことを指摘しているが、とにかく欧州の軍隊は過去80年間、アメリカの支援に頼るように編成され、訓練されてきた。全部を置き換えるには時間もお金もかかる。しかもその間にトランプ大統領が、欧州に駐留する9万人のアメリカ軍を撤退させてしまうかもしれないのだ。

さらに悩ましいのは「核の傘」の問題である。英仏は確かに核保有国ではあるが、そのほとんどは戦略核であり、戦場での使用を想定した戦術核を持っていない。考えたくもないことだが、欧州がロシアとの限定核戦争に突入した場合はどうするのか。「アメリカが来てくれない」のは、かくも大変なことなのである。

ということで、今の世界では信じられないような事態が進行中である。われわれは今まで「欧米」とひとくくりにしていたけれども、「米と欧」が反目し合う時代が始まっている。そんな中で、トランプ大統領がウクライナ戦争への調停工作に着手している。

日本では「トランプ関税」の話ばかりが飛び交っている。所詮はお金で済むことで悩んでいるのだから、思えば贅沢な話かもしれない。いや、「明日はわが身」かもしれないのだけれども(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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