ついにアメリカと欧州の「文化大戦争」が始まった ヴァンス副大統領演説の衝撃度は計り知れない

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このヴァンス演説をユーチューブで聞いてみると 、最初のうちは拍手で応じていた聴衆が、だんだん反応がまばらになっていき、最後のほうでは文字通り凍り付いてシーンと静まり返ってしまうのがわかって面白い。

ヴァンス氏は、「欧州が直面している脅威は、ロシアや中国など外部からではなく、内部からきているのではないか」と述べる。すなわち言論の自由と民主主義が、欧州エリートたちによって弾圧されている。欧州の文明は大量の移民を受け入れたことと、“Wokeなマインド”というウイルスによって危機に瀕していると。

アメリカの民主主義のほうがよっぽど危うい?

公平を期すために、ここはツッコミを入れておきたいところだ。欧州の民主主義が危うい事例として、ヴァンス氏はルーマニアの大統領選挙が「ロシアの介入があった」という疑惑でやり直しになったことを挙げている。

そんなこと言ったらアナタ、2021年の「1月6日事件」で選挙結果を否定しようとしたトランプさんの企てはどうなるのよ。今だってDOGE(政府効率化省)を率いるイーロン・マスクがやりたい放題で、法的な根拠が曖昧なままに連邦政府職員が解雇されていると聞く。アメリカの民主主義の方がよっぽど危ういんじゃないのか。

トランプ政権が発足してからまだ40日程度。この間、あまりにも多くのことが行われてきた。矢継ぎ早に大統領令を乱発し、周囲を圧倒する手法を「フラッド・ザ・ゾーン(Flood the Zone)」と称する。文字通り「洪水のように」新しい政策が飛び出すから、野党は反対が追い付かないし、メディアのチェック機能も働かない。

もちろん局地的な反撃は始まっている。例えば合衆国憲法で認められている「出生地主義」を、いきなり大統領令でひっくり返すのはさすがに無理筋で、すでに裁判所の差し止め命令を受けている。それでもこの件は最高裁まで行くだろうから、「反トランプ派」は勢力を割かれることになる。その間に、トランプ政権は他の分野で前進できるという寸法だ。

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