ついにアメリカと欧州の「文化大戦争」が始まった ヴァンス副大統領演説の衝撃度は計り知れない

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現に今年2月は、「パリ協定」に基づく温暖化ガスの排出削減目標を国連に提出する期限なのだが、195カ国・地域のうち提出済みはわずかに16カ国だという。何しろ世界最大の経済大国でCO2排出量第2位のアメリカが、パリ協定から再度の離脱を通告し、トランプさんは「ここ掘れワンワン」(Drill, Baby, Drill)と化石燃料の開発を急いでいる。

欧州も昨年の欧州議会選挙で右派が台頭し、環境規制の機運は大きくそがれている。万事に義理堅いわが国も、この期限に合わせて「第7次エネルギー基本計画」を準備してきたはずなのに、ここへ来て「急ぐ必要はないよね?」と空気を読んでいるようだ。

「文化戦争」>「大西洋同盟」に衝撃を受けた欧州首脳

とまあ、そこまでは同意するのだが、冒頭のヴァンス氏のジョーク、筆者は笑えない。というか、グレタ嬢とイーロン・マスクはどう重なるんだろう?

ところが今のトランプ政権は、このジョークがバカ受けするような面々から成り立っているらしい。彼らは「環境正義」を唱え、「DEI」を重視し、LGBTの権利を守ろうという「意識高い系」(Woke)な人たちが大嫌いである。それだったらむしろ、自国の伝統的な価値観を守ろうとするロシアのほうに親近感がある。おそらくウラジーミル・プーチン大統領も、環境正義やDEIやLGBTを忌み嫌う人であろう。

だからと言って、アメリカはもう欧州防衛なんてやらないよ、ウクライナを守るのならちゃんと見返り(地下資源)をもらわないと、などと言い出したらどうなるのか。

「自由と民主主義」という価値観を共有し、80年にわたって欧州の安全を守ってきてくれたアメリカが、突如として「お前たちなんか大嫌いだ!」と言い放ったのだから、欧州首脳の衝撃は深かった。アメリカにとっては大西洋同盟の安全保障よりも、「文化戦争」のほうが重大なのだ、と言われたようなものだからだ。

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