「地方がどんどん壊される」本当の"原因"は何か 木下斉vs永谷亜矢子対談【前編】
永谷:そもそも、観光コンテンツを造成する際に、「俯瞰して見られるディレクター」がいなくて、地域の魅力や観光客のニーズをきちんと織り込んだものができないという、公募事業者の選定のあり方に問題があるとも感じています。
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国や自治体が公募する事業では、観光コンテンツの造成に補助金がつくことが多いのだけど、採択された事業者が何をつくればいいかもわからなかったり、売り方もわからなかったりします。
事業者を審査する国や自治体も、書類のみで審査することが多いし、結果を検証したり、ダメだった場合に責任を追及することもない。
公募の申請ってペーパーワークなので、実際の業務遂行能力よりも書類作成の上手さでジャッジされてしまいますから。採択する側も、誰がいい事業者か把握しきれない。
結果、「大金を投じて集客ゼロでした」みたいな案件や、実際に販売にまで至らなかったりすることも少なくありません。
そんなことが毎年繰り返されている。すごくもったいないことです。
地方が「海外資本」にのみ込まれてしまう
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木下:ニセコの例に象徴されるように、「魅力はあるのに足踏みしている」と、結局は外部資本にのみ込まれてしまうわけです。
結果、地価や物価が高騰して、地元住民が追い出される事態も起きている。
これはつまり、自分たちでさっさと動いて観光や地域事業を確立しないと、地域の未来そのものが奪われかねない、という話です。
ところが、危機感が圧倒的に足りない。
地方ではいまだに外資誘致や国内大手チェーンの誘致ばかりで、「地域の財源をどう有効活用し、自分たちで儲ける仕組みをつくるか」という視点が弱い。
上天草市のように、地元資本企業が相次いで高級ホテルをつくり、観光の質を上げて成長しているケースもあるのに、国内でその評価がまだまだ低いのが現状です。