「地方がどんどん壊される」本当の"原因"は何か 木下斉vs永谷亜矢子対談【前編】

「行政の価値観」が追いついていない観光業界
木下:今のインバウンド政策は、いわば“観光ビザばらまき”政策。大前提として人が来ないことには観光は成り立たないので、外国人の誘致は大切です。しかし、観光はどこまでいっても客商売。当然、稼げる地域と稼げない地域が出てきます。
しかもこのご時世、主な情報源はネット。もしくは口コミです。
必然的に、もともと外国人に人気の地域や大手資本がグリップしているホテルなどのある地域がリーチしやすくなる。地域格差は広がっていくばかりです。
永谷:ネット検索からSNS検索、AI検索と時代は進んでいるのに、行政の価値観が追いついておらず、現実に即していないことがとても多いですよね。
いまだに紙のパンフレットを作ったり、看板を新しくしたり。
そんなことを相談されるたび、「パンフレットを旅先に置いても意味ないのに、なぜ?」と不思議で仕方がありません。プロモーションするなら、旅行を計画している「旅マエ」に知ってもらわないといけないじゃないですか。
木下:そもそもパンフレットは海外まで届きませんからね。あれはもう、禁止にしたほうがいいレベル(笑)。