「地方がどんどん壊される」本当の"原因"は何か 木下斉vs永谷亜矢子対談【前編】
永谷:デジタルをうまく使えばいいのに、なかなかそうはなっていません。
観光協会や観光事業者のWebサイトがどうなっているのかというと、間違った情報やもうなくなったお店が掲載されているとか、今どきスマホに対応していないとか、予約機能がないとか。SNSもアカウントがあったとしても、更新されずに野ざらしになっているとか。
これでは、AIにも適切に情報を拾われません。
優先すべきはWebサイトの充実。「いかにして外国人に地域の魅力を知ってもらうか」が大切です。
それなのに、看板の立て替えには数千万円の予算が出て、Webサイト改修には100万円しか出ないなんて現実もあります。何をすべきかがわかっていないから、予算配分も見当違いになってしまっているのです。
ニセコですら「地元の魅力」に気づいていなかった
木下:そもそも住民や政治家、地域の観光協会までもが「自分たちの地域の魅力」に気づいていないケースも多い。
いまや日本有数のリゾート地となった北海道・ニセコも、「うちにはじゃがいもと羊蹄山しかない」とかつて言う地元民は多かった。
しかし、ろくに整備されていない圧雪なしのパウダースノーのスキー場が、ニュージーランドなどの海外のみなさんに注目され、あっという間に一大産業になった。
永谷:先日、滋賀県で登壇させていただいた際も、すごくポテンシャルはあるのに、生かしきれていないもどかしさを感じました。