企業関係者が知るべき「自然関連情報」開示とは TNFD報告書で企業の環境戦略を可視化する
4つ目のポイントは、自然から影響を受ける人々の人権尊重、エンゲージメント活動についての自社の記載があるかどうかだ。
企業の自然資本との関わりの中で、農地や鉱山開発のための先住民族の強制移動、農薬や排水による健康被害などさまざまな問題が起こりえる。しかしこれらは、自然へのマイナスインパクト同様、商流の奥深くに隠されていて一般消費者からは見えづらい。商流をたどり、自然資本へのマイナスインパクトを確認すると同時に人権的側面での確認も重要だ。
加えて地域の自然と長く密接な関係を築いてきた先住民族などは、自然との共存の上で貴重な知見を持っている場合も多い。先住民族や地域住民の声に耳を傾け、彼らから学び取ろうとする姿勢も重要だ。それらのエンゲージ施策を開示することもTNFD開示では推奨されている。
TNFD開示の今後
企業と自然資本との関わりは業種や扱う商材により大きく異なり、企業のTNFD開示も多種多様である。しかし、上記の4つのポイントは、業種を問わず企業の自然資本に向き合う姿勢を浮き彫りにする。
開示を進める企業は上記の4つのポイントに留意して、自社と自然資本との関わりをつまびらかにし、透明性を持った開示を意識していただきたい。バリューチェーンを含めた、企業と自然資本との関わりの分析、改善は経営上の課題であると認識し、自然資本の持続可能な利用に向けた取り組みの加速を期待したい。
【参考】
TNFDキーポイントを参考にしたベンチマーク調査結果―2024年までの開示企業 https://www.wwf.or.jp/activities/lib/5750.html
WWF ジャパン TNFD開示にあたっての4つのキーポイントhttps://www.wwf.or.jp/activities/lib/5897.html
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