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スペイン「行列ができる和菓子店」オーナーの正体 YouTubeと本で日本食を学び、マドリードで起業

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「封印」が解け始めたのは、大学3年生の頃。スペインに訪れた日本ブームの波が、石原さんの心境を少しずつ変えていった。

「周りで『日本はいいね』という声を聞くようになって、少しずつ自分のルーツについて語れるようになっていきました。それまで封印していた記憶が、1つずつ意味を持ち始めたんです」

トンボのどら焼きは甘さ控えめ(筆者撮影)

スペインでは大学卒業まで実家暮らしが一般的な中、石原さんたち3きょうだいは、アルコール依存症の母親との別居を決意。きょうだい3人で生きていこう、と決めた。

「早く自立したい」。その思いが、石原さんを次なる一歩へと駆り立てた。

YouTubeや料理本で学んだ日本食

大学を3年で中退した石原さんは、当時の恋人とともに、マドリードで起業を決意する。彼の両親から融資を受け、最初は石鹸・化粧品のフランチャイズ店を開業したものの、本部の経営破綻により閉店を余儀なくされた。残されたのは、5年契約の賃貸物件だった。

「契約期間が残っているから、とりあえず何かやろうということになりました。知り合いが、当時の日本ブームを見越して『寿司を売ってみたら?』と提案してくれたんです」

こうして開店した日本食レストラン「オカシサンダ(お菓子三田)」。店名には、石原さんのお菓子好きと出身地への思いが込められていた。しかし、料理の経験がほとんどない中での船出だった。YouTubeや料理本を頼りに、寿司やおにぎりを作り、冷凍の焼き鳥を温めて提供する日々。開業から1年は苦戦が続いた。

抹茶ブラウニー3.5ユーロ(約550円)(撮影:アルベルト・オリバレス)

風向きが変わったのは、趣味のお菓子作りを店の強みに据えてからだった。抹茶クッキーやブラウニーなどのオリジナルスイーツを始めると、口コミで評判が広がり始めた。

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【丁寧に「食べ物の背景」を伝えた】

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